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ホームレス・ボンドレス
●ホームレス自立支援法
2002年にホームレスの自立と防止の支援を規定した法律(10年間の時限立法)。
「安定した雇用機会や職業訓練、住居の確保を支援し、健康診断や生活相談・指導を行い自立させる」
「就業や生活上の相談・支援・指導を行って、ホームレスを防止する」
「宿泊場所の一時提供や日用品の支給し、人権擁護と国民への啓発を行う」
など。国が全国の実態調査を行い、自治体に自立支援の実施計画策定を義務付けた。
民間団体やNPOなどとも連携しつつすすめる一方、駅周辺や公園、公共施設などからの強制排除などを正当化する「法的根拠」とされる点で議論をよんでいる。
●ホームレス
「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる人々のことだが、地域社会から排除され、過酷な生活を送っているということは想像はついても、では実際にどういった生活をよぎなくされているのかといった実情はなかなか把握されていない。
そもそも多くの場合関心さえも示されないといったのが現実だ。全国に「寄せ場」とよばれる日雇い労働者の生活を中心とした地域に、支援団体や個人が活動を行なっているが、けっして安楽な活動状況にはない。社会への絶望、人間関係への絶望、家族への関係不全、精神的・肉体的疲労、困窮、劣悪な就寝・食事、医療・福祉からの切り捨て、差別など、ホームレスの直面する状況は、福祉国家ニホンのまさに諸矛盾の発現であるともいえる。
厚生労働省は、『ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法 』(平成14年法律第105号)という10年の期限立法の成立を機に、平成15年1月~2月 にかけて、約2,000人を対象に面接による実態ききとり調査を行なったが、それによると、全国で25,296人とされ、大阪府(7,757人)、東京都(6,361人)、愛知県(2,121人)といったぐあいに、大都市部に集中している。平均年齢は55.9歳。年齢階層も「55~59才」が23.4%と最も多く、ついで「50~54才」が22.0%、「60~64才」が20.3%となっている。生活している場所も、都市公園が 40.8%、河川が23.3%、道路が17.2%、駅舎が5.0%、その他施設が13.7%といった場所に集中している。生活している場所が定まっている者が 84.1%で、その生活になってからの期間は、「1年未満」が30.7%、「1年以上3年未満」が25.6%、「3年以上5年未満」が19.7%。5年未満の者を合計すると全体で 76.0%で、ホームレスの64.7%が仕事をしており、その主な内訳は「廃品回収」が73.3%、平均的な収入月額は、「1万円以上3万円未満」が 35.2%、「3万円以上5万円未満」が 18.9%という。また、路上生活までのいきさつとして、路上生活の直前の職業が、「建設関係の仕事」が 55.2%、「製造業関係の仕事」が 10.5%、雇用形態は、「常勤職員・従業員(正社員)」が39.8%、「日雇」が36.1%、路上生活に至った理由としては、「仕事が減った」が 35.6%、「倒産・失業」が 32.9%、「病気・けが・高齢で仕事ができなくなった」が 18.8%といった調査結果が出た。「健康状態」で、47.4%の人々が身体の不調を訴え、このうち「治療等を受けていない者」が 68.4%にものぼる。多い順に「高血圧」12.0%、「胃・十二指腸潰瘍」7.2%、「ヘルニア」6.5%、また「病気がどうか分からない」と回答した者は7.5%となっている。「福祉制度等の利用状況」においても、「これまでに福祉事務所へ相談に行ったことのある者」が 33.1%、「緊急的な一時宿泊所であるシェルターの利用を希望する者」が 38.7%、「自立支援センターの利用を希望する者」が 38.9%、「これまでに生活保護を受給したことのある者」が 24.5%、その他「これまでに何らかの支援を受けたことのある者」が 72.9%であり、その主な内容は、「炊き出し」が 62.7%、「衣類や毛布の配布」が 56.5%、「自立に向けた今後の希望」は「きちんと就職して働きたいという者」が49.7%、「今のままでいい」という者が 13.1%、「家族との連絡」では、「結婚していた者」が 53.4%を占め、一方、「この1年間で家族・親族との連絡が途絶えている者」が 77.1%という。
自立支援法の中間見直しにむけた政策提言にむけた討論会なども各地で開催され、研究会が独自に行なった調査の分析の報告や、全国の支援団体からの現場の視点から現状報告や提言が出され、ホームレスの定義を広く捉えた上で、施設、家、生活保護、就労、健康などにおける支援と行政の役割について 見ることなど、調査結果の分析を通じて政策づくりへつなげる提案が示された。
具体的には、「自立生活へのサポート」として、ニーズに即した専門家によるサポートの提供や社会制度を学習する場の提供、交流を通じた支えあいであったり、また、行政の強制排除に反対しながら野宿者の屋根と仕事を求めて行っていたり、駅周辺の公園で炊き出しを継続し、会報を発行したり、個別に意見交換や体験、知識の共有をめざしたり、散髪や入浴の機会を無料で提供したり、食材、衣類、日常生活用品などの分配をし、福祉や仕事の相談を受たり、など多岐にわたっている。
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