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第一面 i n d e x > 死生・倫理・哲学 > 自殺からの救助
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自殺からの救助
毎年ニホンでは3万人にもおよぶ自殺者がいるという現実がある。
総死亡数に占める割合をみると、男女とも「25~29歳」が最も高くなっている。
自殺率では男性 50歳代をピークとする大きな山が形成されていて、女性は高年齢になるにしたがって高くなっている。
総数では男性は女性の倍以上。国としての対策もこれといってなく「自殺を減らそう!」というキャンペーンは唱えても「自殺をなくそう!」というコミットメントはできないようだ。
自殺者を出してしまった家族や友人の心のケアも重要な課題で、「自殺からの救助」という場合本人はもちろんであるが周囲人々に対しても積極的に行なう必要がある。
様々な社会的資源を利用して、絶望感、孤独感、厭世観から救助することが大切である。
医療では精神科の受診。トラブルや破産などでは法律相談。福祉事務所。NPO。ボランティア。宗教。『いのちの電話』など、周囲人々も自身も様々な手を尽くして「自殺からの救助」をすること。
『自殺対策基本法 あなたに自殺をしてほしくない』
■日本福祉新聞「自殺対策基本法」研究部会
あなたが、孤独のうちに自殺を考えていたら声を上げて!
助けを求めてください!
幼くても、若くても、成人でも、主婦でも、高齢者でも、同じです。
いかなるものよりも、優先事項として、自殺から救助されてください!
「自殺を口にする人は、実際には自殺するつもりなんてないんだ」は、俗説に過ぎません。
事実は「自殺を口にする人はきっと援助や支援を求めています。自殺を考えている人の多くの人が不安、抑うつ、絶望を経験していて自殺以外の選択肢はないんだ、と感じています」
「ほとんどの自殺は予告はなく、突然に起こる」というのも、俗説です。
事実は「多くの自殺には、言葉や行動によって事前の警告やサインが発せられています。
もちろん、警告やサインがないままに発生してしまう自殺もありますが、警告やサインが何であるかを理解すること用心することは重要です」
「自殺の危機にある人は、すでに死ぬ決意をしている」というのも俗説です。
事実は、この俗説とは反対です。「自殺の危機にある人は、死ぬことと、生きることに関して、相反する感情、ふたつが同時に存在している状態であることが多いです。人によっては、生き延びたかったとしても、衝動的に、死を選んでしまうこともあります。支援をうけることで、自殺は予防できる可能性があります」
「自殺の危機にある人は、いつまでも危機のなかにあり続ける」も俗説です。
事実は「自殺の危険は、多くの場合、短期的な、特有の高まりです。自殺のことを再び強く思ってしまっても、それは永遠に続くものではありません。かつては自殺をしたい、自殺をしなくてはならないと思っていたひともあるいは、自殺未遂をしてしまったひとも、回避した結果、その後の人生を健やかに過ごすことができます。自殺の回避は、悪いことでも、恥ずかしいことでもありません。自殺をしないということは、むしろ、正しい、尊いことです」
「精神障害のある人だけが自殺の危機におちいる」というのも俗説です。
事実は「自殺衝動は深い悲しみのしるしです。が、必ずしも精神障害のしるしではありません。精神の障害とともに生き続けている多くの人びとがいます。精神の障害から、自殺企図に影響を受けるわけではありません。自らの命を絶つ人のすべての人が精神に障害のある人でもありません」
「自殺について話すことは、よくない。話題にすることで、自殺を促しているようにとられかねない」というのも俗説です。
事実は「自殺ということが、社会悪として、タブーとされているので自殺を考えている人びとの多くがじつは誰に相談したらよいかわからないのです。自殺のことを思ってしまうんだ、ということを包み隠さず話すことは、自殺を促すどころか、逆であって、むしろ、他の選択肢の存在や可能性を気づき、決断を考え直す時間を与え、自殺を予防することにつながります」
また、家族や友人、恋人を自殺で亡くしてしまった方々は、閉じこもらずに、救助を求めてください。
全国に、自死をした遺族のつどいがあります。
インターネットなどでも、交流することができます。
愛する人を、失い、つらい思いをしているうえに、自分を責めてしまったり、生きる力、生きる希望を、見いだせなくなっていたのなら、自分をこそ、一刻も早く救助してあげてください。
多くの遺族が、互いに声を掛け合い、助けあっています。
あなたが公務員であって、たまたま、福祉の窓口に勤務していたとしても、
あなたが会社員であって、たまたま、上司や同僚や部下の様子を見ていたとしても、
あなたが教師であって、たまたま、生徒や同僚の教師の異変をしったとしても、
自殺に繋がるサインを、見逃さないでください。
現代の日本は、他人のことに関わらない社会になってきてしまいました。
家族や、友人や、恋人といった、インフォーマルな間柄でさえ、無関心であったり、深くかかわることをさけ、ましてや、自殺などといった深刻で重要な人生の問題について、分かち合えなくなってしまった人も多くいます。
そのうえ特に、フォーマルな関係でしかない、公務員、医師、弁護士、同僚、教師、福祉士、訪問介護ヘルパー、といった人たちは、深く関わろうとしないばかりか、自殺の可能性が感じられても、見て見ぬふりをしてしまいがちです。
ですが、助けてください。介入してください!
介入以外に、フォーマルな関係の、目の前の自殺企図者を救助する方法はありません。
話を聞いてあげてください。
心を通わせ、批判や否定をせず、本人のことばを受け止めてあげてください。
本来なら、自殺を考えるまでになる以前に、心に寄り添ってあげることができたなら、深刻に自殺についた悩むことさえなかったかもしれません。
誰もいなかった。
でも、いま、その一人になってあげてください。
その人の悩みは、まったくトンチンカンで、無意味で、馬鹿げている、などということはないはずです。
話を聞く者にとっても、痛みの伝わるもののはずです。
自殺企図者、話を聞く者、二人同時に、救助されてください。
自殺対策の、一番の課題は「関係性の喪失」だといわれています。
もっとも優先すべき目標は「関係性の再構築」だともいわれています。
自殺企図者にとっても、周囲の者にとっても、フォーマルな関係者にとっても、
急ぐべきことは「コミュニケーション能力の再開発」だと指摘されています。
自殺は、世界的にみても「最も多い死因のひとつ」であるにもかかわらず、公衆衛生における対策の、自殺の優先順位は低いのが現状です。
「自殺対策」「自殺に関する研究」は、切実に求められている財政的、人材的投資を受けてきませんでした。
自殺は多大な犠牲を強います。
日本では、2万5000人ほどの自殺者があり、世界では、毎年、80万人以上の人々が自殺により死亡しています。
15歳から29歳の死因の第2位です。(1位は、交通事故)
成人1人の自殺者に対し、20人以上の自殺企図があるとも指摘されています。
自殺は対策可能です。
正確に言うならば、「自殺は対策可能だ」という研究報告をうけ、「自殺は対策可能だ」という立場にコミットし、「自殺対策する」という意図で、あらゆる階層、多くの人々によって、行動に出され、多くの人命が、失われずに救われています。
自殺者の多い国は、国としての対応が効果的であるためには、包括的な多部門による自殺対策戦略が必要です。日本は、先進国のなかで、大変に自殺の多い国です。
自殺手段へのアクセスを制限することも、効果があります。
自殺や自殺企図を予防・防止するものとして、農薬、銃器、特定の医薬品、危険な物質、といったものに手が届きにくい環境整備も必要です。
メンタルヘルスケアは、自殺対策の核となる構成要素として組み込む必要があります。
精神障害やアルコールの有害な使用、覚せい剤使用は、世界中で多くの自殺の一因となっています。
早期発見と効果的なこころのマネジメントは、自殺を食い止めるの鍵となります。
地域社会においても、自殺対策にとって重要な役割を果たします。
危機にあるひとへ、社会的支援を提供し、フォローアップすることが大切です。
「自殺」をスティグマ化(社会悪化、禁忌視して嫌うこと)と闘い、自殺で遺された人々を支援することができます。
あなたの近くに、自殺してしまった人はいませんか?
「理由」もなにもかも持っていって、亡くなってしまったかもしれません。
でも、そのかたは、充分な「自殺防止対策」を受けていましたか?
受けていたら、どうなっていたと思われますか?
失わないですんだ、大切な命ではありませんでしたか?
今も、発見されず、孤立し、
危機にひんしている
自殺企図者がいます!
今も、発見されず、孤立し、
危機にひんしている
自殺者をだした、家族や友人や恋人がいます!
様々な自殺対策基本法のことを知ってください!
わたしたち日本福祉新聞は、自殺されたすべての方々の魂を祈ることからはじめます。
その方々は、いま、この世にはいません。
わたしたち日本福祉新聞は、自殺を未遂に終わった、あるいは、こころみ生還されたすべての方々の魂を祈ることからはじめます。
その方々は、いま、この世にいます。
わたしたち日本福祉新聞は、自殺された方々、自殺未遂、生還された方々に寄り添い、ともに生きる方々、それは家族、親戚、友人、知人、あるいはインターネットやスマートフォンなどソーシャル・ネットワーキングでつながっていた方々の、魂を祈ることからはじめます。
その方々も、いま、この世にいます。
わたしたち日本福祉新聞は、告白します。
わたしたち日本福祉新聞『自殺対策基本法』研究部会のメンバーは、自己の自殺の可能性を認めます。
自殺を、他人事としてではなく、患者でもなく、理解し難い特別なひとでもなく、自分のこととして受けとめ、編集します。
危機にあって、自殺への接近をはねのけ、生きることを再選択する。かつまた、自殺の回避への提案、エンパワーメント、別の選択肢の有効を可能な限り示します。
以下の方々と連帯して編集を進めます。
1.現在、自殺への傾向が強い方々
2.自殺の選択を手放していない方々
3.自殺への傾斜を、克服したいと思っている方々
4.自殺者や自殺未遂者とともに生きてきた(生きている)、家族、親戚、友人、知人、SNSでつながっていた(つながっている)、毛青を必要とする方々
5.自殺の相談を受けている、あるいは、自身の近くに自殺を企図している人がいる。
目的は、以下のことです。
「自殺予防・防止」
「周囲の方々のケア」
「自殺を選択した、抜き差しならない現場からの救助」
すべての自殺は悲劇です。
自殺による死亡は世界で、毎年80万人を超えています。
それぞれの死には、それぞれの理由があります。
自殺者の他にも、何倍もの多くの自殺企図者が存在しています。
親しい人の自殺は、長い時間が経っても、家族、友人、地域に打撃を与え続けます。
その衝撃は計り知れません。
残された周囲の者にとって、死んでいった者の死を受け止めるしかありません。
あなたは、大丈夫ですか?
あなたの周囲の人たちは、大丈夫ですか?
自殺対策についての研究や知識は、増えています。
しかし、
自殺にまつわる「タブー」と「スティグマ化」は根強く、危機にある人びとは、援助を求めることなく、取り残されています。
援助を求めたとしても、多くの保健医療システムとサービスでは、適時かつ効果的な援助を提供することができていません。
自殺は予防できます。
時を逃さず、効果的な、科学的根拠に基づいた介入や、治療、支援によって、自殺と自殺企図は予防できます。
本人の命ばかりではありません。
家族、友人、恋人、地域への、壊滅的なインパクトばかりではありません。
自殺が与える負担は、保健医療部門のみならず、多くの部門と社会全体に影響を及ぼします。
自殺対策には、包括的な方法で、多部門によるアプローチが必要です。
わたしたちの社会から、それぞれの関わりを通して、自殺者を出さない、というアクションを起こす必要があります。
あなたは『自殺対策基本法』という言葉を聞いたことがありますか?
自殺者が、毎年3万人を超える状況を深刻に受け止め、できた日本の法律です。
厚生労働省、内閣府、警察庁など、さまざまな機関が関わっています。
「3万を、半分の、一万五千人にまで減少させましょう」とは、自殺の本質になじまない提言です。
「自殺者を、ゼロにしましょう!」
ひとりの自殺者も出さない社会にしましょう!
自殺は、成功ではありません。
自殺に単純な理由などありません。
わたしたち日本福祉新聞は、自殺を美化したり、扇情的に取り上げたりしません。
宗教的、文化的な固定観念を、自殺に対してステロタイプに用いません。
自殺を発生させた責任の所在を割り付けたりしません。
あなたが、いじめにあっていたり、つらい環境にいたら、相談する相手がいなかったなら、この本を手がかりにしてください。
話を聞いてくれる人が必ずいます。
あなたの心に寄り添って、苦しみをわかってくれ、助けてくれる人がいます。
それでも、どうしても、見つからなかったなら、誰にも相談できなかったなら、危険な環境から、逃げましょう!
命の危機が迫っていたら、危険な状況から、逃げ出すことを考えてください!
生命に危険が及ばなくなる距離まで、逃げてください。
暴力のおよぶ圏内から脱出してください!
国境を超えてください!
逃げることは、けっして悪いことではありません。
自殺をしてしまうより、逃げて、生きましょう!
逃げることで、命が助かっている人は大勢います。
たったひとりで、周囲に理解者や、協力者がいなかったなら、命を優先にしてください!
あなたの周りに、あなたを救助できる人間がいなくとも、脱出することで、救助する力のある人や団体と接触できます。
自殺防止へむけた介入として、物理的環境を変えていくことは、有効です。
「大切で、重要で、失ってしまってはやっていけない」と思われている状況から、優先順位を変えてください!
命より大切なものはありません。
命より重要なものもありません。
失ってしまってはいけないもの、それは、命だけです。
死んでいこうとする者にとって、ほかの者がどうであれ、「自分自身」が生きるのか、どうなのか、しかありません。
ノウハウも、統計も、薬も、役に立たないケースはあります。
理屈を超えて、生きることを選択してください!
あなたは、無条件で、生きていていいんです。
身体的暴力、心理的暴力、性的暴力、ネグレクト(放棄、放置)、経済的暴力
アルコール依存症、覚せい剤、銃の所持
差別、人権蹂躙、脅迫、人身売買
といった重大で深刻な問題は、多くの日本の専門家でさえ、まともには対処してくれません。
解決するよりも先に、脱出し、命を守ってください。
あなたを自殺へと追い込んでいると思われるあらゆるものから逃げましょう!
会社、学校、家庭、地域、経済、組織、グループ……
逃げて、安全になって、立て直しましょう。
「自殺」以外の、問題解決のための選択肢は、たくさんあります。
自殺からの救助を目的とした、支援組織もたくさんあります。
あなたが、力を抜いて、心のバリアをほどき、心身ともに委ねられる専門家はたくさんいます。
わたしたち日本福祉新聞は、さまざまな「危険を示す指標」「警告信号」を公表します。
「自殺者を、減らす」というキャンペーンに、わたしたち日本福祉新聞は、本質的に同意しません。
大切なひとが、自殺してしまうのか、自殺をしないのか。
「自殺者を、ゼロにする」というテーゼにのみ賛同します。
「自殺」は、プライベートな、個人的な問題であって、研究の対象ではない、という考え方もあります。
しかし、他方では、歴史、原因、社会環境、性別、経済との関連、年齢、といった様々な角度から解析され、自殺の傾向や危険度が共有されてもいます。
国連が、「自殺は必ず防止できる」と提言したのには、年間80万人にものぼる自殺者に対して、世界全体で向かい合っていくというコミットメントでもあります。
「自殺」はプライベートな、個人的な問題ではあるけれども、「自殺を防止する」ということは、みんなで分かち合える問題だ、ということです。
みんなが、「あなたに、自殺してほしくない」と訴えているということです。
あなたが、哲学や文学や宗教に大変興味があり、日頃から死生の問題を真摯に考える手がかりとし、「自殺」についても深く深く、さらに深く沈思黙考するなら、究極の現場で、あなたはなにを選択しても、理論的にも、神の前でも、非理論的でも、神に背いても、人間として、あるいは非人間としてでも、あなたとして、それは正しい。
毎年、世界で80万人が、日本で3万人が、超絶対的なものとむかいあって、自己の魂の自由を絶望的な状況で慟哭しているかと思うと、恐ろしい。
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