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第一面 i n d e x > 医療・健康・難病 > 禁煙
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禁煙



●発ガンやその他の疾病との関係

タバコには、中毒性のあるニコチンを初め40種類以上の発ガン物質、200種類にも及ぶ有害物質が含まれています。
ニコチンは、青酸カリよりも強烈な毒物で、体重50キロの人が50ミリグラムのニコチンを飲み込めば死んでしまいます。
そのほかに、一酸化炭素(車の排気ガスにも含まれる)、タール、アンモニア(爆薬にも使われる)、シアン化水素(強力な毒性を持つ)、石炭酸(腐食性がある)、フェノール(刺激性がある)などが含まれています。
以下は、タバコの煙が原因で起こる主な病気を占めています。 これらの症状はタバコを吸い初めてから何年も経って現われてきます。
1、肺ガン
2、咽喉ガン
3、口腔ガン
4、子宮頚ガン
5、心臓病
6、冠状動脈血栓症
7、血液凝固
8、脳卒中
9、気管支炎
10、肺気腫
11、早期閉月経
12、動脈疾患
13、末梢血管疾患
14、肝腎疾患
15、えそと切断
16、胃・十二指腸潰瘍
17、動脈ガン
18、感染症に対する抵抗力の低下
19、呼吸困難
20、体調不良
21、歯肉炎
22、乳児の突然死
23、死産
24、流産
特に妊婦にとって回避すべきいくつかの重要な疾患があることに注意してください。
『ハートで禁煙 妊婦のための禁煙プログラム』

母胎への影響



妊婦の喫煙は、胎児にとって、副流煙など受動喫煙よりも危険です。
妊娠した女性がタバコを吸うと、胎児の発育に大きな影響を与えることは知っているでしょうか。
東京の母子衛生研究会が、妊娠中の女性1,896人にアンケートしたところ、

「全く吸ったことがない」が64%
「今回の妊娠でやめた」が30%
「妊娠中もずっと吸っている」が4.4%

もいました。
生まれたときの体重が2500g以下の赤ちゃんを低体重児(未熟児)と呼びますが、妊娠中ずっとタバコを吸い続けていた母親から低体重児が生まれてくる確率は、吸わない母親に比べて2.4倍。 しかも1日に16本以上吸っていた母親からは4.3倍の高率で低体重児が生まれることがわかりました。
女性とタバコの関係は、男性とタバコとの関係ではありえない特別な恐ろしい害を生み出しているからです。 もちろん、その最大のものが胎児への影響です。これ以外にも、女性自身、母体自身への、男性にはないタバコの害が次々に明らかになってきているのです。 
第1は子宮ガンや卵巣ガンの危険性です。
子宮や卵巣は女性にのみあり、本人だけでなく子孫に関係してくる器官です。
喫煙者の場合、特に子宮ガンに冒される危険性が大変大きいのです。
子宮ガンにも、正確には子宮頚部(入り口)のガンである子宮頚ガンと、中の体部のガンである子宮体ガンとに分けられますが、日本では圧倒的に前者が多いので、ここではこれを子宮ガンとよぶことにします。
タバコと子宮ガンの強い相関関係は、原因についてはいろいろ説がありますが、だいたい、喫煙により、ニコチンやタール内の発ガン性物質が血液を通して侵入し、子宮頚部の上皮によって分泌、というルートを想定している学者が多いようです。
また、子宮ガンを『性交によって伝播される感染症』で、常習的喫煙男性の精液中により感染した発ガン性物質の存在は無視できないという説もありますから、女性だけの問題ではないかもしれません。 しかし、本人の喫煙が影響していることは無視できないでしょう。
●胎児への影響

妊娠中喫煙していた母親から生まれた赤ちゃんの体重は、平均150gから250g軽く、母親が吸わなくても父親が吸っていた場合には、約128グラム軽いことがわかりました。
タバコのなかのニコチンが、胎児に血液を送っているへその緒を収縮させ、十分に栄養や酸素がとどかなかったことが原因です。
赤ちゃんがタバコに弱い理由としては、いろいろありますが、たとえば胎児の脳は母親が体の中に受け入れた有害物質に対して全く無防備です。
私たちの脳の中にはグリア細胞という脳細胞があります。
この細胞の大切な役割の一つは、脳の中に有害物質が入ることを防ぐ、いわば関所のようなものを作るの。
グリア細胞は生後1年間に400gから700~800gにもなるけれど、胎児の脳はこの細胞が非常に少なく、そのため妊娠中のお母さんがタバコを吸ったり、お酒を飲んだりするとそれらの有害物質が赤ちゃんの脳に蓄積されて行くのを防ぐことができません。
ニコチンは末梢神経を収縮させ、胎児に流れる血液の量を少なくし、発育に影響を及ぼします。 喫煙により、ニコチンと一酸化炭素は胎盤をバリアーを通過して胎児の血液中に移行するため、胎児障害を起こすのです。
そして喫煙は異常妊娠につながります。
流産、早産は、特に1日20本以上吸う人は、吸わない人に比べて自然流産の率が約2倍にもなります。
喫煙は大きくなりたい赤ちゃんの成長を妨げます。
ニコチンは脳の呼吸をつかさどる部分の発送を阻止し、生後すぐの赤ちゃんに呼吸障害を起こします。
また、低出生体重児、周期死亡、先天異常を引き起こします。
タバコを吸う両親をもった赤ちゃんは、生まれたあとも受難が続ます。
出産後の喫煙再開にともなう乳児の死亡率上昇についてこんな報告もあります。
 「妊娠中に禁煙しても、出産後喫煙を再開した母親の赤ちゃんは、突然死の確率がタバコを吸わない母親の赤ちゃんに比べ2倍になることが米保健統計センターの調査でわかった。
妊娠中の喫煙が突然死の危険性を増大させることは、以前から指摘されているが、出産後の喫煙も悪影響があるという報告は初めて。調査に当たった医師たちは周囲のタバコの煙を吸い込む二次喫煙と突然死の関係について、更に調査する必要があるとしている。
この調査は健康な赤ちゃん1万人と突然死した6千人の赤ちゃんを対象に行われた。
また、喫煙習慣を持つ母親の大部分は妊娠中に禁煙しても、出産後にまたタバコを吸い出すこともわかった」 
(ニューヨーク時事・1992・11月23日)        
タバコを吸う母親が母乳を飲ませれば、そのなかに溶けたタバコの有害物質が赤ちゃんの発育を妨げます。なんと母乳のなかにニコチンが入り込んでいて、赤ちゃんが母乳で育てられたばかりにニコチン中毒にかかったケースすら、珍しくないのです。母親が吸わなくても、父親が吸うタバコの副流煙を吸わされながら育った赤ちゃんが、気管支炎や肺炎ににかかる確率は、吸わない親に育てられ赤ちゃんの2倍から3倍という報告もあります。
両親がともにタバコを吸う場合、子供は、その子自身がタバコを吸っているわけではなくても、11才の時点で、平均より少し小さく、文章の読解力も普通より少し遅れており、病気で学校を欠席する割合も1.5倍になる、という最近の研究もあります。
妊娠初期は特に胎児は大きな影響を受けやすいので、妊娠に気づいてからタバコをやめたのでは、もう遅いのです。
では、常習喫煙者は妊娠すべきではないのでしょうか。
つまり、妊娠の可能性のある性交はすべきではないということなのでしょうか。 基本的、医学的には「そのとおり」といわざるをえません。
妊娠とわかった時点であわてて禁煙しても、残念ながらまったく喫煙しない女性に比べると危険性は高いのです。
だからこそ、未婚の女性も直ちに禁煙をといいたいところです。
もちろん、そうはいっても、喫煙の癖がついてしまった女性もいつかは一生の伴侶に出会うでしょうし、愛しあうこともあるでしょう。
ですから、男性もふくめてですが、心で愛を感じた瞬間に禁煙してください。
●赤ちゃんがタバコを食べてしまう危険

ハイハイやよちよち歩きの赤ちゃんが、灰皿にあったタバコのすいがらをつまんで口に入れてしまい、救急車がかけつけて一命を取り止めたという話はよく聞きます。
これを「異物誤飲事故」とよびますが、一才未満の乳幼児の誤飲事故の中で一番多いのがタバコの誤飲で73%にもなっています。(ついで医薬品、防虫剤、洗剤、硬貨の順になっています)
しかもタバコの誤飲事故は、日曜日に最も多く起こっています。
日曜日にお父さんが、畳の上にごろりと横になって、テレビを見ながらタバコを吸っています。
お母さんに、何か手伝ってと言われて立ち上がった後に、ハイハイしてきた赤ちゃんが、タバコの吸い殻を口に入れてしまう・・・
こんな情景を想像してみてください。
そして近い将来、あなたは子供を育てるのですから、必ず思い出してほしいと思います。
ニコチンはまぎれもない毒です。
純粋なニコチンをたった一滴あなたの舌の上に落とせば、あなたはまちがいなく数分のうちに死にます。
日本でも昔から「ニコチン一滴馬をも殺す」といわれています。
これはけっしてオーバーな表現ではありません。この言葉は中国の禁煙キャンペーン・スローガンにもなっています。
馬をも殺す毒をあなたの大切な赤ちゃんに飲ませることができますか?
母乳や空気といった経路も含め、赤ちゃんの生活環境は大変な危険にさらされているのです。
なお、タバコの葉を誤飲したとき、体重10�Lの赤ちゃんの場合、2センチ以上の葉によって中毒症状が起こります。(気持ちが悪い、吐く、よだれが多い、真っ青になる、ぐったりするなど) 葉が消化される30分~4時間の間に見られます。もちろん2cmセンチ以下でも慎重に。

●異物誤飲に関する中毒110番は全国で2ヶ所。

つくば中毒110番 0298-52-9999
大阪中毒110番 06-87-9999
24時間体制でやっています。
応急処置としては、牛乳や水などを飲ませた後、吐かせて胃を洗浄するなどしてください。

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