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第一面 i n d e x > 人権・人種・性の権利・差別 > アイヌ・ウタリ
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『アイヌ・ウタリ』
かつて『アイヌ・ウタリ』のひとびとに対して、政府は、あるいは国民はどういった意識や考えをもっていたのかを、『北海道旧土人保護法』を読むことで確認していきたい。
○『北海道旧土人保護法』
日本が「単一民族」であるという、なんの根拠もない考えにもとづき、また「そのようにかん変えるべきである」という横暴に対して、あまりにも国民は無反省であったし、情報を与えられることもなかった。
『アイヌ・ウタリ』のひとびとが、どういった歴史をあゆみ、現在にいたっているか、あるいは現在もなお続く差別について、少しずつではあるが発進されはじめている。
●アイヌ民族差別
「アイヌ」とはそもそも「人間」という意味で、人々はアイヌとは自称せず「ウタリ(仲間)」と呼ぶ。しかしこれも、自分と他者とを区別する排他的な意味でのそれではなく、民族独特の、動物や自然と一体となった大らかな位置付けでの「活かされたわれら」という意味合いが強い。北海道の先住民であったアイヌ民族は、樺太・千島列島もふくめ広域に居住し、鮭や鱒などの川漁や鹿などの狩猟、野生植物の採集などをして生活していた。表記文字はないが、有名な口承文学ユーカラがあり、そこでは様々な動物に魂が転生してアイヌの人々が、ときに勇敢に、ときに情熱的に、ときにユーモラスに、自然と融和して生きている姿がみずみずしく語られている。こうしたアイヌの人々に対し、江戸時代、特に松前藩の苛酷な支配から、明治そして現在に至るまで、和人(本州人)は、搾取やあらゆる差別によって、虐げてきた歴史をもつ。
特に、明治政府は『北海道土地売買規制』『地所規制』によって、アイヌの人びとによって占められていた土地を、本土からの移民が自由に処分できるように規定した。アイヌの人びとは、元来、生活圏として土地を使用するが、土地の私的所有概念を持たないため、本州からの移民に対し、『北海道<開拓使>』は土地売却を進め、1877年には『北海道地券発行条例』により、アイヌの人びとの居住地も官有地とされ、法的にもアイヌの人びとには土地所有を認めないことが追認された。さらに1899年(明治32年)に発布された『北海道旧土人保護法』は、「農業の奨励」「学校教育の普及」「貧困への援助」の美名のもとで、強制的に生活様式や地域を奪い、耕作に向かない丘陵地や沼地などへアイヌの人びとを閉じ込め、長年培って来たアイヌの独自の文化を奪い、狩猟とりわけ漁業を中心に生計を営んできた環境から、不慣れな農業へ強制転換を迫り、言語を奪った。こうして『開拓政策・同化政策』として 差別的、非人道的行為を繰り返し、人口も激減。一旦奪われた狩猟生活ヘも戻れず、アイヌの人びとの生活は困窮を極めた。
100年以上を経て、旧法の廃止に活動した萱野茂氏がアイヌ初の参議院議員に当選し、1994年「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(アイヌ新法)」制定。「北海道旧土人保護法」が廃止となるのは1997年のこと。しかし、アイヌ民族自身が求めていた先住権等、民族の権利、国の補償に関わる項目は盛り込まれてはいない。アイヌと和人との戦い「シャクシャインの蜂起」から約150年。アイヌ民族の文化を守り、民族の自立を求める運動は新しい局面を迎えている。
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