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第一面 i n d e x > 家庭・暮らし・教育 > 国の少子化社会対策
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国の少子化社会対策



少子化社会にむけ国の対策が示されている。

『少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について』 平成16年12月24日 少子化社会対策会議決定

I 策定の趣旨
少子化社会対策基本法に基づき、国の基本施策として、「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日閣議決定)を策定し、少子化の流れを変えるための施策を強力に推進することとしているが、本大綱に盛り込まれた施策について、その効果的な推進を図るため、重点施策の具体的実施計画として、この「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について」を策定する。
本計画では、大綱に盛り込まれた施策のうち、地方公共団体や企業等とともに計画的に取り組む必要があるものについて、平成21年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げるとともに、施策の実施によって子どもが健康に育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会への転換がどのように進んでいるのかが分かるよう、概ね10年後を展望した、目指すべき社会の姿を掲げ、それに向けて、この5年間に施策を重点的に取り組んでいくこととする。
今後、本計画に基づき、夢と希望にあふれる若者が育まれ、家庭を築き、安心と喜びを持って子育てに当たっていくことを社会全体で応援する環境が整ってきたという実感の持てるよう、内容や効果を評価しながら、政府を挙げて取組を強力に進めていく。

II 施策の内容・目標

1. 若者の自立とたくましい子どもの育ち
(1) 若者の就労支援の充実
○若者が早くから仕事に接し、考える機会を持つことができ、就業を自らの人生において積極的に位置づけられるようにすることを通じて、若者の生活基盤の強化を図り、自立を促す。
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進
職場体験等を通じて、小・中・高等学校におけるキャリア教育の更なる推進を図る。
□ キャリア探索プログラムの推進
職業や産業の実態、働くことの意義、職業生活等に関して生徒に理解させ自ら考えさせるため、ハローワークを通じ、企業人等を講師として学校に派遣する。
□ インターンシップ(就業体験)の推進
インターンシップに前向きに取り組む大学等の支援を通じ、学生の学習意欲の向上や高い職業意識の向上等に意義を有するインターンシップを推進する。
□ 若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)における支援の推進
若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)において、地域の企業や学校などと連携し、若年者向けの情報提供、カウンセリングや職業紹介などの各種サービスを一貫して提供する。
□ 若年者試行雇用の活用
常用雇用移行率 80% (平成18年度までの目標)
学卒未就職者などの職業経験が十分ではない若年者を対象に、3か月間の試行雇用を活用し、常用雇用の実現を支援する。
□ 日本版デュアルシステムの推進
若年者向けの実践的な教育・職業能力開発の仕組みとして、企業での実習と教育・職業訓練の組合せ実施により、若者を一人前の職業人に育てる新しい職業訓練システムである「日本版デュアルシステム」を推進する。
□キャリア・コンサルタントの養成・活用の推進
約2万人(15年度)→約5万人
(平成18年度までに達成)
個々人の職業生活の設計や、それに即した職業選択、能力開発等を支援する「キャリア・コンサルタント」を養成するとともに、その活用を推進する。
□職場定着の促進
新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率を毎年度対前年度比で減少
(平成18年度までの目標)
地域における若年労働者の相互交流や企業人事管理者の講習等の取組を促進するとともに、働くことに関わる幅広い相談に身近に応ずる体制を整備する。

目指すべき社会の姿
◇若者が意欲を持って就業し、経済的にも自立できるようになる(早期に若年失業者等の増加傾向を転換(フリーター約200万人、若年失業者・無業者約100万人それぞれについて、低下を示すような状況を目指す))
(注) 目指すべき社会の姿は、本プランに掲げた具体的施策を中心に、関連する施策を総合的に推進することにより、実現を目指すものとして掲げた。(以下同様。)

(2)奨学金事業の充実
○若者の自立を促すためにも、勉学を希望する若者が経済的理由でその機会を失うことがないよう支援する。
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□日本学生支援機構奨学金事業の充実 基準を満たす希望者全員への貸与に向け努力
若者の自立を促すためにも、勉学を希望する若者が経済的理由でその機会を失うことがないよう、奨学金制度による支援を一層推進する。
目指すべき社会の姿
◇教育を受ける意欲と能力のある者が、経済的理由で修学を断念することのないようにする


(3)体験活動を通じた豊かな人間性の育成
○子どもたちが、様々な自然体験・社会体験活動の機会を持ち、自然や人とふれあう中で、基本的なルール、感性、社会性等を身に付け、意欲にあふれた自立した若者へと成長できるようにする。
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□子どもの多様な活動の機会や場所づくりの推進
子どもたちが放課後や週末に様々な体験活動や地域住民との交流活動等を行えるような地域における取組の推進を図る。
□地域ボランティア活動の推進
子どもたちと地域社会との関わりを深め、豊かな人間関係を形成できるよう、高等学校等におけるボランティア活動の単位認定等の取組を促進するなど、地域におけるボランティア活動の全国的な展開を推進する。
□学校における体験活動の充実 全国の小・中・高等学校において一定期間のまとまった体験活動が実施されるようになること
児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むため、都市部から農山漁村や自然が豊かな地域に出かけ、異なる環境における豊かな体験活動の促進や、長期にわたる集団宿泊等の共同体験等をはじめとした、他校のモデルとなる体験活動に取り組む。
□青少年の自立を支援する体験活動の充実
全国に普及(平成19年度までに達成)
青少年が自立した人間として成長することを支援するため、青年の長期社会体験活動等の主体性・社会性をはぐくむ体験活動を推進する。
□こどもエコクラブ事業の推進
小中学生のこどもエコクラブ登録者数 82,299人(15年度)→11万人
(平成18年度までの目標)
こどもエコクラブを通じて、身近な地域社会での自主的な環境学習を行う機会の提供などの体験活動の推進を図る。
□子どもパークレンジャー事業の推進
子どもパークレンジャー事業を通じて、国立公園等の豊かな自然の中で自然や環境の大切さを学ぶ機会の提供などの自然体験活動の推進を図る。
□農林漁業体験活動等の推進
農山漁村の豊かな自然環境の中で、様々な農林漁業体験活動や自然体験活動等を経験することを通じた人間性の育成を図るとともに、身近な自然に安心してふれあえる環境整備を推進する。
□都市公園の整備
都市公園の整備やその活動を通して、身近な自然にふれあうとともに、自由に遊べる場を地域全体で確保する。
□河川空間を活用した体験活動の推進
NPO、ボランティア団体等と連携し、河川特有の機能を十分に活かした取組を推進するとともに、必要に応じて交流・自然体験・環境教育の場としての身近な水辺環境の整備を実施する。
□自然・社会教育活動等の場としての海岸づくり
海辺における自然・社会教育活動等を安全に楽しめ、また、都市・農漁村及び世代間の交流の場となる海岸づくりを推進する。
・目指すべき社会の姿 ◇ボランティア体験、自然体験、社会体験活動の機会が充実し、多くの子どもが様々な体験を持つことができる

(4) 子どもの学びの支援
○子どもたちが「生きる力」をはぐくむことができる学校教育を推進するため、魅力ある公立学校づくりをはじめとする子どもたちの学びを支援する。
(具体的施策)  
□義務教育改革の推進
義務教育の到達目標の明確化、学力の向上、教員の資質向上などをはじめとする義務教育改革を推進し、信頼され、安心して子どもを託すことのできる学校づくりを図る。
□「生きる力」の育成
学習意欲の向上や指導の改善等をねらいとする「学力向上アクションプラン」の推進や習熟度別指導や少人数指導の推進等により「確かな学力」の向上を図るとともに、学校における体験活動の充実等による豊かな人間性の育成を図る。また、学校における体育・運動部活動の充実等により子どもの健康・体力をはぐくむ。
□地域に開かれ信頼される学校づくり
学校評価の実施及びその結果の公表を促進することにより、学校の説明責任を果たし、教育活動の改善を図る。学校評議員制度や、保護者や地域住民が公立学校運営に参画する学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)の設置を促進する。
□特色ある高等学校づくり
多様化する生徒の実態に対応し、生徒の個性を最大限に伸ばすため、将来の科学技術系人材や専門的職業人の育成や、総合学科や単位制高等学校など特色ある学校・学科等の設置を推進する。
目指すべき社会の姿
◇子どもたちが、「確かな学力」、豊かな人間性、健康や体力などの「生きる力」をはぐくむことができる学校教育が推進される

2. 仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し
○職場優先の風土を変え、働き方の見直しを図り、男性も女性もともに、社会の中で個性と能力を発揮しながら、子育てにしっかりと力と時間を注ぐことができるようにする。
(1) 企業等におけるもう一段の取組の推進
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 一般事業主行動計画の策定・実施の支援
行動計画を策定し、次世代育成支援に取り組む企業の割合
大企業  100%
中小企業 25%
次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業数
計画策定企業の20%以上
中小企業も含め、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を支援するとともに、当該計画に定める目標達成など一定の基準に適合する企業を認定し、その好事例について広く普及を図る。
□ファミリー・フレンドリー企業の普及促進
表彰企業数
227企業(16年度までの累計)→700企業(21年度までの累計)
事業主の意識啓発等により、仕事と育児が両立できるような様々な制度と職場環境を持つ企業(ファミリー・フレンドリー企業)の普及を促進する。

(2) 育児休業制度等についての取組の推進
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□育児休業制度の定着
育児休業制度を就業規則に規定している企業の割合 61.4%(14年)→100%
育児・介護休業法について、制度の周知等を図るとともに、企業の制度として定着するよう、育児休業制度が就業規則に未整備の事業所への指導を徹底する。
□育児休業の取得促進、子育て期間中の勤務時間短縮等の措置の普及促進
育児休業取得率の目標達成に向け、職場の意識改革を進めるための啓発活動や好事例の普及を図る。また、事業主に対する指導や助成等により、子育て期間中の勤務時間短縮等の措置の導入促進を図る。
□時間外労働の制限、深夜業の免除、子の看護休暇の制度の定着
育児中の労働者が請求した場合には、時間外労働が制限(年150時間まで)される制度及び深夜の労働が免除される制度や、労働者が病気やけがをした子の看護のために休める制度の周知・徹底を図る。

(3)男性の子育て参加の促進
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□男性の子育て参加促進に向けた取組の推進
次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業(男性の育児休業取得実績がある企業)の割合 計画策定企業の20%以上
男性の子育て参加を促進するため、企業トップを含めた職場の意識改革、管理職や従業員への研修の実施、育児休業取得者が出た場合の雇用管理ルールの明確化等の取組を推進する。また、子どもの出生時における5日程度の休暇の取得促進について、次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画に基づき官公庁が率先して進めることにより、民間企業等への普及を図る。

(4)仕事と生活の調和のとれた働き方の実現
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□個々人の生活等に配慮した労働時間の設定改善に向けた労使の自主的取組の推進
労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(時短法)について、育児をはじめ労働者個々人の生活等に配慮した労働時間、休日、休暇の設定を促進するものへと見直す。
□仕事と生活の調和キャンペーンの推進(「短時間集中」型の働き方等の普及) 官公庁と大企業のすべてが取組
生産性の向上を図るため、各企業等において業務や作業の手順等を見直し、無駄を廃して、より短い時間での効率的な業務遂行等を進める取組や在宅勤務、短時間就労等の導入を促進するための意識啓発を行う。
□長時間にわたる時間外労働の是正
長時間にわたる時間外労働を行っている者 1割以上減少
〔週労働時間60時間以上の雇用者の割合12.2%(15年)〕
育児期にある労働者の生活等に配慮しつつ労働時間等の設定の改善を図ることが人材の確保や生産性の向上につながることについて労使当事者に周知するとともに、フレックスタイム制等の弾力的な労働時間制度の活用等により多様な働き方を実現することを通じて、長時間にわたる時間外労働の是正を図る。

□年次有給休暇の取得促進
企業全体に係る労働者一人平均年次有給休暇の取得率 47.4%(15年度)→少なくとも55%以上
労働者が子育てのために年次有給休暇を取得しやすいようにするため、計画的付与制度の導入、好事例の紹介や意識啓発活動を推進する。
□パートタイム労働者の均衡処遇の推進
パートタイム労働者と通常の労働者との均衡処遇に向けた環境の整備を進める企業の割合が増加する
パートタイム労働者と通常の労働者との間の均衡処遇を進める上での具体的な考え方を示したパートタイム労働法に基づく指針が浸透・定着するよう取り組むとともに、処遇や人事制度の見直しなど均衡処遇の推進に取り組む事業主を支援する。
□柔軟な転換制度の導入の推進
働き方の多様な選択が可能となるよう、コース別雇用管理制度を導入している企業におけるいわゆる総合職・一般職相互間のコース転換制度の導入を推進する。併せて、パートタイム労働者の通常の労働者への転換制度の普及を図る。
□多様就業型ワークシェアリングの普及促進
平成17年度中に、短時間正社員など公正な処遇が図られた多様な働き方の導入をめざす多様就業型ワークシェアリングの「制度導入・利用マニュアル」を開発し、これを用いて、多様就業型ワークシェアリングの普及を図る。
□テレワークの普及促進
就業人口に占めるテレワーカー(※)の比率
(※) 情報通信手段を週8時間以上活用して、時間や場所に制約されない働き方をする人。6.1%(14年)→20%
(平成22年までの目標)
テレワークの実態調査を行うとともに、テレワークに関する企業内制度やセキュリティの高いテレワーク環境の導入の推進、創業・事業化を容易にするための必要な環境整備、導入のためのガイドラインの整備、推進組織による普及活動等を通じて、適正な就業環境の下でのテレワークの普及促進を図る。
□公務員の勤務形態の弾力化・多様化
公務員の勤務時間等に関する制度を弾力化・多様化し、職業生活と家庭生活の両立支援の推進を図る。

(5) 安心して妊娠・出産し働き続けられる職場環境の整備
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いの是正
妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについて、行政指導の徹底を図るとともに、解雇以外の不利益取扱いについての法的整備を検討する。
□ 母性健康管理対策の推進
医師等の指導事項を的確に伝達するための連絡カードの活用等により、妊娠中及び出産後の女性労働者に対する適切な母性健康管理の推進を図る。
□ 企業におけるポジティブ・アクションの普及促進
取組企業の割合 29.5%(15年度)→ 40%
男女が職場で十分に能力を発揮しながら安心して子どもを生み育てられる環境整備の観点から、公正公平な人事評価・処遇を含む企業におけるポジティブ・アクションの普及促進を図る。また、その際、出産や育児による欠勤等がハンディにならないような人事管理制度、能力評価制度等の導入を積極的に推進する。

(6) 再就職等の促進
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 再就職準備支援の推進
育児等のために退職し、将来再就職を希望する者に対して、再就職に向けた具体的取組計画の策定支援、職場体験講習の実施、再就職に役立つ情報の提供を行う(再チャレンジサポートプログラム)などきめ細かい支援を推進する。
□ 育児時間に配慮した職業訓練等の推進
育児中の求職者が公共職業訓練を受講できるよう、柔軟な訓練コース時間の設定を行う。また、民間機関も活用して再就職希望者のニーズに対応した職業訓練を実施する。
□ 両立支援ハローワークにおける再就職の援助等の推進
育児が一段落し、再就職を希望する者等に対し育児・家事等と就職の両立を支援するため、子ども連れでも利用しやすい施設を整えた「両立支援ハローワーク」において、職業情報の提供、ガイダンスの実施、多様な職業紹介の実施等による再就職支援を推進する。
また、職務分析に基づく職業能力評価制度の整備により、個人の職業能力や企業が求める職業能力が明らかになることで、円滑な再就職を促進する。
□ 求人年齢の上限の緩和促進
公共職業安定所における全求人に占める年齢不問求人の割合 15.2%(15年度)→30%
(平成17年度)
育児が一段落し、再就職を希望する者等が、求人の年齢制限により求職活動の制約を受けることがないよう、ハローワークの窓口等で個別の企業に対する啓発・指導等を行うなど、求人年齢制限緩和の取組を推進する。
□ 求職者の保育所利用の促進
育児中の求職者が安心して求職活動ができるよう、保育所の受入児童数の増大を図りつつ、求職中も保育所の利用ができることを市町村やハローワークにおいて積極的に周知する。

目指すべき社会の姿
◇希望する者すべてが安心して育児休業等を取得できる職場環境となる(育児休業取得率 男性10%、女性80%/小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及率 25%)
◇男性も家庭でしっかりと子どもに向き合う時間が持てる(育児期の男性の育児等の時間が先進国並みに)
◇働き方を見直し、多様な人材を効果的に育成活用することにより、労働生産性が上昇するとともに、育児期にある男女の長時間労働が是正される
◇働き方の多様な選択肢が用意される
◇育児期に離職を余儀なくされる者の割合が減るとともに、育児が一段落した後の円滑な再就職が可能となる

3.生命の大切さ、家庭の役割等についての理解
○これから親となる人が皆、乳幼児期の子どもとふれあう機会や子どもや家庭の大切さを考える機会を持つことができるようにする。
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 乳幼児とふれあう機会の拡大 すべての保育所、児童館、保健センターにおいて受入を推進
保育所、児童館、保健センター等で中・高校生が乳幼児と出会いふれあう機会を提供するための受入を推進する。
□ 生命の大切さや家庭の役割等に関する学校教育の充実
全国の中・高等学校において、生命の大切さや家庭の役割、保育体験を含む子育て理解等に関する教育を推進する。
□ 安心して子どもを生み育てることができる社会について地域住民や関係者が参加して共に考える機会の提供 全市町村で実施
子育てや子育て支援に関する各種のフォーラム、ワークショップの開催や子ども参加型のイベントを実施し、子どもと大人が交流し会える機会の提供などにより、子どもを生み、育てることを社会全体で応援する意識の醸成を図る取組を推進する。

目指すべき社会の姿
◇様々な場において、中・高校生が乳幼児とふれあう機会をもてるようになる
◇多くの若者が子育てに肯定的なイメージを持つようになる(子育てに肯定的なイメージを持つ割合が増える)
◇全国の市町村において地域住民や関係者を交えた子育てを応援する各種の取組が行われるようになる

4. 子育ての新たな支え合いと連帯
(1) きめ細かい地域子育て支援の展開
○働いている、いないにかかわらず、親と子の育ちを地域で支え、家庭の中だけでの孤独な子育てをなくしていく。
(※)次世代育成支援対策推進法に基づく市町村行動計画に掲げられた目標の実現を目指す(平成21年度の目標値は、各市町村において検討中の目標値の集計結果を踏まえて設定)。
(1) 気軽に利用できる子育て支援の拠点の整備
(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□ 地域における子育て支援の拠点の整備 2,954か所→ 6,000か所
(全国の中学校区の約6割で実施)
・つどいの広場事業の推進 171か所→ 1,600か所
子育て中の親子が相談、交流、情報交換できる場を身近な場所に整備する。
・地域子育て支援センター事業の推進 2,783か所→ 4,400か所
保育所等において、専業主婦等が育児不安について専門家に相談したり、地域の育児サークル活動を行うことのできる地域子育て支援センター事業を推進する。
□ 一時・特定保育の推進 5,935か所→ 9,500か所
(全国の中学校区の約9割で実施)
専業主婦を含め、保護者の育児疲れや急病や冠婚葬祭など一時的な場合から、パート就労など予め日時を特定する場合まで、必要な時に子どもを預けられる場の拡充を図る。
□ 商店街の空き店舗を活用した子育て支援事業の推進
商店街の空き店舗を活用した子どもの一時預かりや親子交流、育児相談などの事業実施を促進する。
□ 子育て短期支援事業の推進
・ショートステイ事業の推進 569か所→   870か所
(全国の児童養護施設、母子生活支援施設、乳児院の約9割で実施)
・トワイライトステイ事業の推進 310か所→   560か所
(全国の児童養護施設、母子生活支援施設、乳児院の約6割で実施)
保護者の疾病や育児疲れ、恒常的な残業などの場合における児童養護施設等での児童の一時的な預かりを推進する。

(2) 就学前の教育・保育の充実
(具体的施策)
□ 幼稚園における地域の幼児教育センターとしての機能の充実
保護者と地域のニーズに十分応えられるよう、預かり保育や子育て支援事業を推進する。
□ 幼稚園就園奨励事業の推進
幼稚園児の保護者の所得状況に応じて、教育に係る経済的負担の軽減を図るため、幼稚園就園奨励事業を推進する。
□ 幼稚園と保育所の連携、就学前教育・保育と小学校の連携
幼稚園と保育所のそれぞれの特性を活かしつつ、地域や保護者の多様なニーズに応えるとともに、幼児期の教育と小学校以降の教育との円滑な移行や接続を図るため、幼稚園・保育所・小学校間の連携を進める。
□ 総合施設の制度化
就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について、平成17年度に試行事業を先行実施し、平成18年度からの本格実施を目指す。
□ 幼稚園及び保育所における自己評価や第三者評価の推進
幼稚園及び保育所の教育・保育の内容の充実を図りつつ、利用者の選択にも資するよう、情報公開を促進するとともに、自己点検評価や第三者評価を推進する。

(3)地域住民による主体的な子育て支援の促進
(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□ ファミリー・サポート・センターの推進 368か所→   710か所
(全国の市区町村の約4分の1で実施)
乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、送迎や放課後の預かり等の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置促進を行う。
□ シルバー人材センターによる高齢者活用子育て支援事業の推進
高齢者の就労機会・社会参加の場を提供するシルバー人材センターにおいて、乳幼児の世話や保育施設への送迎などの育児支援、就学児童に対する放課後・土日における学習・生活指導等の支援を行う。
□ 地域住民による子どもの基本的生活習慣の形成の促進
放課後児童クラブやファミリー・サポート・センター、シルバー人材センターの仕組みを活用し、子育てを終えた主婦や高年齢退職者等が子どもを預かり、基本的な生活習慣を身につけることなどを支援する取組(「生活塾」)を促進する。
□ 子育てNPOや子育てサークルの育成
地域に根ざして子育て支援活動を行っているNPOや子育てと主体的に向き合いながらサークル活動を実践している親などに、各種子育て支援に関する情報提供や活動場所の確保等の支援を行う。
(今後5年間の目標)
□ 老若男女の地域住民の主体的な子育て支援活動、交流の促進
全市町村で実施
地域の高齢者や子育て中の男性、中・高校生などを含め、老若男女の地域住民が子育て支援活動に主体的に関われるようにし、多世代の交流を促進するため、保育所、児童館、自治会等で地域に開かれた各種子育てに関わる行事等を開催するなどの取組を促進する。

目指すべき社会の姿
◇すべての子育て家庭が歩いていける場所に気兼ねなく親子で集まって、相談や交流ができるようになる(子育て支援拠点がすべての中学校区に1か所以上ある)
◇孤独な子育てをなくす(誰にも子育てについて相談できない人の割合や誰にも預けられない人の割合が減る)

(2)子育て家庭が必要なときに利用できる保育サービス等の充実
○「待機児童ゼロ作戦」、多様な保育サービスのより一層の充実など、子育て家庭がどこでも必要なときに利用できる保育サービス等を充実する。
(※)次世代育成支援対策推進法に基づく市町村行動計画に掲げられた目標の実現を
目指す(平成21年度の目標値は、各市町村において検討中の目標値の集計結果を踏まえて設定)。
(1) 待機児童ゼロ作戦のさらなる展開
(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□保育所の受入れ児童数の拡大 203万人→   215万人
待機児童50人以上の市町村を中心に、平成19年度までの3年間で集中的に受入れ児童数の拡大を図る。

(2) 放課後児童対策の充実
(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□ 放課後児童クラブの推進(※)
15,133か所→17,500か所
(全国の小学校区の約4分の3で実施)
保護者が労働等により昼間家庭にいない放課後児童のための対策を推進する。

(3) 多様な保育ニーズへの対応
(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□延長保育の推進 12,783か所→16,200か所
(全国の保育所の約7割で実施)
基本の開所時間である11時間を超えて行われる保育を推進する。
□ 休日保育の推進 666か所→ 2,200か所
(全国の保育所の約1割で実施)
休日や祝日に働く保護者が安心して子どもを預けられる場を確保する。
□ 夜間保育の推進 66か所→   140か所
(人口30万人以上の市の約5割で実施)
病院等夜間の勤務が必要な保護者が安心して子どもを預けられる場を確保する。
□ 乳幼児健康支援一時預かり(病後児保育)の推進 507か所→ 1,500か所
(全国の市町村の約4割で実施)
病気回復期にある乳幼児の保育を、保育士等の派遣等を進め、充実する。

目指すべき社会の姿
◇全国どこでも保育サービスが利用できるようになる(保育所待機児童が50人以上いる市町村をなくす)
◇就業形態に対応した保育ニーズが満たされるようになる(保育ニーズが満たされていると考える保護者の割合が増える)

(3) 家庭教育支援の充実
○基本的な生活習慣や社会的マナー、自制心や自立心などを育成する上で重要な役割を果たす家庭教育を支援する。
(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 家庭教育に関する学習機会や情報の提供の推進 全市町村で家庭教育に関する講座が開設されるようになること
子育て中の親等に対し、家庭教育に関する学習教材の提供、相談の受付け、講座の開設等、地域の実情に応じた様々な手段を通じて、家庭教育に関する学習や情報入手の機会が充実されるよう環境整備を推進する。
□ ITを活用した家庭教育支援手法の普及
全国に普及
子育て中の孤立しがちな親等が、気軽に学習や相談をしたり、情報を入手することができるよう、携帯電話による子育て相談や情報提供など、ITを活用した家庭教育支援の手法を普及する。

目指すべき社会の姿
◇家庭教育に関する親の不安や負担感が軽減される(しつけや子育てに自信がないという親の割合が減る)

(4) 特に支援を必要とする子どもとその家庭に対する支援の推進
○児童虐待の防止やその適切な対応、障害児やひとり親家庭などの多様なニーズへの対応を図り、すべての子どもと子育てを大切にしていく。
(1) 児童虐待防止対策の推進
(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□ 虐待防止ネットワークの設置  1,243市町村→ 全市町村
関係機関等による発生予防、支援のための連携体制を整備する。
(今後5年間の目標)
□ 乳児健診未受診児など生後4か月までに全乳児の状況の把握 全市町村で実施
乳児健康診査について、休日健診の推進等により、受診率のさらなる向上を図るとともに、生後4か月に達するまでに新生児訪問や乳児健診のいずれにも接触のなかった全乳児の状況を把握するため、訪問調査を実施するなどの対策を全市町村で実施する。
□ 育児支援家庭訪問事業の推進
訪問による養育困難家庭を支援する取組を推進するため、全市町村での実施を目指す。
□ 児童相談所の夜間対応等の体制整備 全都道府県・指定都市で実施
夜間休日における連絡や相談対応の確保、中核市規模の人口を有する市での設置の促進、分室・支所の活用による市町村支援体制の確保等を図る。
□ 虐待対応のための協力医療機関の充実 全都道府県・指定都市で実施
児童虐待に対する医療的ケアの重要性にかんがみ、地域の医療機関との協力、連携体制の充実を図る。
□ 個別対応できる一時保護所の環境改善 全都道府県・指定都市で実施
虐待を受けた子どもと非行児童との混合処遇の状況を改善することや非行児童に個別対応できる居室等の改善を行う。

(平成16年度)  (平成21年度)
□ 児童家庭支援センターの整備  51か所→ 100か所
(都道府県に2か所、指定都市に1か所程度設置)
地域に密着した虐待、非行などの相談・支援を行うセンターを整備する。
□ 情緒障害児短期治療施設の整備
軽度の情緒障害を有する子どもの治療体制を整備するため、情緒障害児短期治療施設の全都道府県での設置を目指す。
□ 施設の小規模化の推進 299か所→ 845か所
(児童養護施設等において1施設あたり1か所程度で小規模ケアを実施)
虐待を受けた児童等に対して、家庭的な環境の中で養護を実施する小規模グループケアや地域小規模児童養護施設の整備を着実に進める。

(今後5年間の目標)
□ 里親の拡充
児童養護施設、乳児院、里親に措置された児童のうち里親への委託率
8.1%(15年度)→15%
専門里親登録者総数
146人(15年度)→500人
専門里親、親族里親の活用のほか、里親研修や里親養育相談の実施、里親の休息のために一時的に委託児童を児童養護施設等に預かるレスパイト・ケアの実施など、里親に対する支援を充実することで、里親への委託児童数の増加を図る。

(平成16年度)  (平成21年度)
□ 自立援助ホームの整備
26か所→    60か所
(都道府県・指定都市に1か所程度で実施)
義務教育終了後、児童養護施設等を退所した児童等の社会的な自立を促す援助を行う自立援助ホームの整備を着実に進める。

□ 虐待対策に関する最新の知見の集積及び調査・研究
妊娠時よりの発生予防対策から、親へのカウンセリングなどの支援に至るまでの知見の集積、実践可能なプログラム及び専門職の資質の向上のための人材育成プログラム等の開発を集中的に実施する。

□ 学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究
児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究、分析を行い、各学校及び都道府県・市町村教育委員会において調査研究の成果を活用する。

(2) 母子家庭等ひとり親家庭への支援の推進

(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 総合的な自立に向けた支援の推進
母子家庭等ひとり親家庭は、子育てと生計の担い手という二重の役割を担う必要があり、子育て・生活支援策、就業支援策、養育費の確保策、経済的支援策等の総合的な母子家庭等対策を推進し、母子家庭等の自立の促進を図る。
・ 子育て・生活支援策の推進
疾病等の理由により一時的に家事援助等が必要になった場合、家庭生活支援員の派遣や、生活支援講習会及び電話相談の実施など母子家庭等の地域での生活を総合的に支援する。
・就業支援策の推進
母子家庭等就業・自立支援センターを全都道府県・指定都市・中核市に設置
自立支援教育訓練給付金事業を全都道府県・市等で実施
高等技能訓練促進費事業による資格取得者全員の就業を目指す資格取得者総数
118人(15年)→1,300人
自立支援教育訓練給付金事業、高等技能訓練促進費事業、公共職業訓練等により職業能力開発への取組を支援するとともに、ハローワークにおける個別総合的な就職支援、母子家庭等就業・自立支援センターにおける就業相談、就業支援講習会等の実施、民間事業者に対する就業促進についての協力要請、母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮など、総合的に母子家庭の母の就業・雇用の促進を図る。

(3) 障害児等への支援の推進

(具体的施策)  
□ 地域における障害のある児童とその家族への支援
障害のある児童が、できるだけ身近な環境で適切な療育を受けられる体制を整備する。
(平成19年度までに達成する目標※)
※本目標は、重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)に基づくもの
・訪問介護(ホームヘルプサービス)事業の推進
ホームヘルパーを約6万人確保
(障害者・難病分を含む)
日常生活を営むのに支障のある障害児のいる家庭にホームヘルパーを派遣する。
・障害児通園(児童デイサービス)事業の推進
約11,000人分整備
障害児が、肢体不自由児施設や知的障害児施設等への通園によって日常生活における基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練等が受けられるようにする。
・重症心身障害児(者)通園事業の推進
約280か所整備
在宅の重症心身障害児(者)が、通園によって日常生活動作、機能訓練等必要な療育を受け、運動機能等の発達が促されるようにするとともに、併せて保護者等の家庭における<療育技術の習得を図る。
・障害児(者)短期入所(ショートステイ)事業の推進
約5,600人分整備
(障害者・難病分を含む)
保護者の疾病等により家庭における介護が一時的に困難となった障害児が施設等に短期間の入所をする。

□ 障害児の活動する場の確保等の推進
障害のある中・高校生等が養護学校等下校時に活動する場を確保するとともに、障害児を持つ親の就労支援とレスパイト(障害児を日常的にケアしている家族の一時的な休息)支援を行う。

□ 発達障害に対する一貫した支援
発達障害児(者)の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する、保健・医療・福祉・教育・就労等を通じた一貫した支援体制の整備を図る。
(平成16年度)
・自閉症・発達障害支援センターの整備
21都道府県・指定都市→60都道府県・指定都市
(平成19年度までに達成)
自閉症等の発達障害を有する障害児(者)に対する相談支援・療育支援・就労支援等を総合的に行う地域の拠点として、自閉症・発達障害支援センターを整備する。
□ 小児慢性特定疾患対策の推進
小児慢性疾患のうち、小児がんなどの特定の疾患の医療費について、自己負担分の一部を補助するとともに、車いす等の日常生活用具の給付を行うなどの福祉サービスの推進を図る。

目指すべき社会の姿
◇ 児童虐待により子どもが命を落とすことがない社会になる(児童虐待死の撲滅を目指す)
◇ 全国どこでも養育困難家庭の育児への不安や負担感が軽減される支援を受けられるようになる
◇ 虐待を受けた子どもが良好な家庭的環境の中で育まれるようになる
◇ 母子家庭等の安定、自立した生活が確保されるようになる
◇ 障害のある子どもの「育ち」を支援し、一人ひとりの適性に応じた社会的・職業的な自立が促進される

(5) いつでも安心して小児医療、母子保健医療が受けられる体制の整備

どこでも、子どもの病気や出産の緊急時に適切に対応できる体制を整備し、妊娠、<出産、育児の安心・安全を確保するとともに、子どもの健やかな育ちを支援する。

(1) 子どもの病気に対し適切に対応できる体制整備

(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□ 小児救急医療体制の推進
221地区→   404地区
子どもの病気の緊急時に、夜間、休日でも適切な小児救急医療を提供するため、小児救急医療圏(404地区)をカバーする体制を全国に整備するとともに、保護者向けの夜間電話相談体制などの整備を進める。

(今後5年間の目標)
□ 小児科医師等の確保・育成
小児科医師数が適正に配置された医療施設数の増加 かかりつけ医を持っている子どもの割合 81.7%(12年)→100%
子どもが地域において、いつでも安心して医療サービスを受けられるよう、小児科医療施設の役割分担と連携を推進し、小児科医師の適正な配置を図る。また、産科医師数の減少傾向に歯止めをかける。さらに、子どもが入院中も「子どもらしく生活」できるように小児医療を支える保育士の十分な確保を図る。

□ 小児医療の診療報酬上の適切な評価
平成15年3月に閣議決定された「医療保険制度及び診療報酬体系に関する基本方針」に沿って、医療の特性、患者の心身の特性、生活の質の重視等を踏まえた適切な評価について引き続き検討を進める。

(2) 子どもの健やかな成長の促進

(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 予防接種の推進
予防接種の接種率向上
定期の予防接種を円滑に受けられるような環境の確保に努め、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延の予防を図る。
□ 「食育」の推進
取組を推進している市町村・保育所の割合 100%
家庭はもとより、地域においては食育推進連絡会を設置するなど保健センター、保育所、学校、農林漁業者団体、食品関連事業者団体等関係機関の連携による取組の推進を図る。また、すべての保育所において、給食その他保育活動を通して「食育」を推進する。さらに、児童生徒が望ましい食習慣を身に付け、将来にわたって健康な生活を送ることができるよう、小・中学校等で栄養教諭を活用した指導体制の整備や家庭と連携した取組の推進を図る。

□ 子どもの生活習慣の改善
肥満児の割合を減少傾向に
〔14年度 10.6%〕
幼児健康診査等の機会や学校における定期健康診断等の機会を通じて、健康状態の把握や個別栄養指導等の実施により、肥満等健康課題を有する子どもに対する生活習慣の改善を図る。

□ 喫煙防止対策の推進
妊娠・育児中の両親の喫煙率の低下
〔13年度 父親35.9%母親12.2%〕
喫煙が及ぼす健康影響についての知識の普及を図るなど、10代や妊婦などの喫煙防止対策を推進する。

□ 母乳育児の推進
母乳育児の割合を増加傾向に
〔12年度 44.8%〕
妊産婦健康診査や新生児訪問指導等において、助産師等と連携を図りつつ、母乳についての保健指導を実施すること等により、母乳育児を推進する。また、デパート等での授乳室の設置を進めるなど、授乳しやすい環境づくりを促進する。

□ 家庭内等における子どもの事故防止対策の推進
対策に取り組んでいる市町村の割合
100%
乳幼児が家庭の浴槽で溺死する事故なども多いことから、家庭内における子どもの事故防止のための取組を推進する。

(3) 子どもの心と身体の問題への対応

(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 子どものこころの健康支援の推進 子どものこころの健康に関する研修を受けている小児科医、精神科医(子どもの診療に関わる医師)の割合
100%
児童思春期における心の問題に対応できる小児神経科、児童精神科等の医師、保健師等の養成を図るとともに、精神保健福祉センター、児童相談所等における専門相談の充実を図る。

□ 学校における心身の健康相談等の充実
児童生徒が学校生活を心身ともに健康で安全に送ることができるよう、養護教諭を活用しながら、地域保健と学校とが連携しつつ、児童生徒の心身の健康相談や健康教育を充実する。

□ 思春期保健対策等の推進
思春期保健対策に取り組んでいる地方自治体の割合 100%
10代の人工妊娠中絶率の低下
〔12年度 12.1(人口千対)〕
10代の性感染症罹患率の低下
〔12年度性器クラミジア感染症男子196.0、女子968.0(人口10万対)〕
思春期の人工妊娠中絶やHIV感染症を含む性感染症、薬物乱用問題に対応するため、学校や保健所等において、健康教育や電話相談等を行うことにより、性やHIV感染症を含む性感染症に関する正しい知識の普及及び薬物乱用対策の推進を図る。

(4) 妊娠・出産の安全・安心の確保

(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 「いいお産」の普及
妊娠・出産について満足している者の割合
84.4%(12年度)→100%
安全で快適な出産環境により、妊娠・出産に満足し、その後の子育てが楽しいと感じられるような「いいお産」の普及を図る。

(平成16年度)  (平成21年度)
□ 周産期医療ネットワークの整備
28都道府県→  全都道府県
(平成19年度までに達成)
母胎が危険な妊産婦や低出生体重児に適切な医療を提供するため、一般の産科病院等と高次の医療機関との連携体制を確保する。

□ 周産期医療の診療報酬上の適切な評価
平成15年3月に閣議決定された「医療保険制度及び診療報酬体系に関する基本方針」に沿って、医療の特性、患者の心身の特性、生活の質の重視等を踏まえた適切な評価について引き続き検討を進める。

(5) 不妊に悩む者への支援

(具体的施策) (平成16年度)  (平成21年度)
□ 不妊専門相談センターの整備
51都道府県市→95都道府県市
(全都道府県・指定都市・中核市で設置)
不妊に悩む夫婦に関する医学的・専門的な相談や不妊による心の悩み等について相談できる体制整備を図る。

□ 特定不妊治療費助成事業の推進
87都道府県市→95都道府県市
(全都道府県・指定都市・中核市で実施)
不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成する。

(6) 成育医療の推進

(具体的施策)  
□ 成育医療に関する全国的なネットワークの構築
成育医療を推進するため、小児・母子保健医療機関の全国的なネットワークを構築し、国立成育医療センターを拠点として、臨床・研究・情報発信等において、これら医療機関と連携・協力することによって、地域において質の高い成育医療を受けられる体制を整備する。

目指すべき社会の姿
◇ 周産期、乳幼児期の安全が確保される(周産期、新生児、乳児・幼児死亡率の世界最高水準を維持・向上する)
◇ 全国どこでも子どもが病気の際に適切に対応できるようになる(すべての小児救急医療圏で小児救急医療体制が整備されるなど、小児医療体制が充実している)

(6) 子育てに安心、安全な住まいやまちづくり
○ 妊婦、子ども及び子ども連れの人が安心して住み、街に出ることができるようする。

(1) 子育てに適した住宅の確保等の支援

(具体的施策)  
□ 子育てを支援するゆとりのある住宅取得等の支援
住宅金融公庫の証券化支援事業などによる持ち家の取得の支援や、良質なファミリ-向け賃貸住宅の供給促進、公共賃貸住宅における多子世帯等の優先入居を実施するとともに、良好な住宅市街地の整備による職住近接の実現、住宅と保育所等の一体的整備を推進する。

□ シックハウス対策の推進
子どもの健康への影響を考慮し、シックハウス対策に係る調査研究等の結果を踏まえ、必要な対策を行う。また、シックハウス症候群に関する学校関係者の理解の一層の促進等、学校におけるシックハウス対策を推進する。

(2) 子育てバリアフリーなどの推進

(具体的施策) (今後5年間の目標)
□ 建築物のバリアフリー化の促進
2,000平方メートル以上の特別特定建築物の総ストックのうち、ハートビル法に基づく利用円滑化基準を満たすものの割合 約4割
(平成19年度までに達成)
〔15年度 約3割〕
不特定多数の者が利用する公共性の高い建築物について、段差の解消等のバリアフリー化を推進する。

□ 公共交通機関のバリアフリー化の推進
1日の平均利用者数が5,000人以上の旅客施設(鉄道駅・航空旅客ターミナル等)のバリア
フリー化(段差の解消)の割合
原則として、 100%
(平成22年までに達成)
〔15年度 44.1%〕
公共交通機関における車両等のバリアフリー化の割合
鉄道車両・軌道車両 約30% 〔15年度23.7%〕
ノンステップバス 20~25% 〔15年度9.3%〕
船舶 約50% 〔15年度4.4%〕
航空機 約40% 〔15年度32.1%〕
(平成22年までに達成)
交通バリアフリー法に基づき、公共交通機関における旅客施設や車両等のバリアフリー化を推進する。

□ 歩行空間のバリアフリー化の推進
1日の平均利用者数が5,000人以上の旅客施設の周辺等の主な道路、信号機のバリアフリー化の割合
道路  約5割 〔15年度25%〕
信号機  約8割 〔14年度約4割〕
(平成19年度までに達成)
交通バリアフリー法の特定経路を構成する道路において、バリアフリー対応型信号機の整備や歩道の段差、勾配等の改善を推進する。

□ あんしん歩行エリアの整備
エリア内の死傷事故の抑止割合
約2割(歩行者・自転車事故については約3割)
(平成19年度までに達成)
死傷事故発生割合の高い地区約1,000箇所を指定の上、面的かつ総合的な事故抑止対策を実施する。

□ 安全・快適な道路交通環境の整備
歩道・自転車道等の通行空間と自転車駐車場の整備を推進するとともに、「交通安全総点検」などによる子どもの視点に立った歩道の補修などの改善を推進する。

□ 都市公園のバリアフリー化等の推進
都市公園において、妊婦、子ども及び子ども連れの人が使いやすいように、段差の解消等を図るとともに、安全確保に努め、安心できる遊び場の環境整備を図る。

□ 河川空間のバリアフリー化の推進
妊婦、子ども及び子ども連れの人が安心して河川を訪れ、憩い楽しめる河川空間を創出するため、河川空間のバリアフリー化を推進する。

□ 海岸保全施設のバリアフリー化の推進
妊婦、子ども及び子ども連れの人が日常生活の中で海辺に近づき、身近に自然と触れ合えるようにするため、海岸保全施設のバリアフリー化を推進する。

□ 歩車分離式信号の運用の推進
歩行者と車両が交錯することにより、交通事故の発生が懸念される交差点において、歩行者と車両の通行を時間的に分離する信号制御の運用を推進する。

□ 建築物における事故防止対策の推進
建築物等に係る事故情報の収集や提供により安全対策を推進し、子どもが、安全にかつ安心して利用できる環境を整備する。

□ 劇場等において、乳幼児同伴に配慮した区画された観覧室の設置の促進
劇場等において、乳幼児同伴の利用者等に対応するため、周囲に気がねなく観覧できる区画された観覧室の設置を促進する。

□ 子育てバリアフリーの意識啓発等の推進
子育てバリアフリーマップの取組を全市町村で浸透
市町村と地域住民が協働して、乳幼児とその親が外出する際の遊び場、授乳コーナー及び一時預かりの実施場所等を示したマップを作成し、子育て家庭に配布する取組や、妊婦、子ども及び子ども連れの人が安心して外出できるよう、周囲に思いやりの心を持った行動を促すような意識啓発の取組を推進する。
また、交通バリアフリー教室の開催やバリアフリーボランティアの普及に努め、「心のバリアフリー社会」を実現する。さらに、鉄道駅等の旅客施設や宿泊施設のバリアフリー化の状況に関する情報提供を推進する。

□ 輸送分野における子育て支援活動の推進
タクシー事業者と子育て支援センター等が連携し、安全で安心して利用できる幼児送迎サービスを提供するための個別輸送サービス(STS(スペシャル・トランスポート・サービス))について実証実験を行い、その普及を図る。

□ 育児にかかる製品の安全性の確保
製品に関する事故情報の収集・調査等により、製品による事故の未然・再発防止及び製品の安全性を図る。

(3) 子どもの安全の確保

(具体的施策)  
□ 子どもを犯罪等の被害から守るための取組の推進
学校、家庭やPTA等の団体、地域住民、関係各機関等が連携し、地域の防犯ボランティアや母親クラブ等による自主的なパトロール活動、「子ども110番の家」の活動、学校等における防犯教室の開催、危機管理マニュアルを踏まえた学校における安全管理に関する取組等に対する支援を行う。

□ 「安全・安心まちづくり」の推進
道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪防止に配慮した環境設計を行うことにより、犯罪被害に遭いにくい安全で安心なまちづくりを一層推進する。

目指すべき社会の姿
◇ 妊婦、子ども及び子ども連れの人に対して配慮が行き届き安心して外出できるようになる(妊婦、子ども及び子ども連れの人が安心して外出できると感じる割合が増える)

(7) 経済的負担の軽減
□ 税制の在り方について検討
個人所得課税において、人的控除の基本構造の見直しに際し、児童などに対して扶養控除を集中することを含め幅広く検討する。

III 検討課題
社会保障給付について、大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、これを支える若い世代及び将来世代の負担増を抑えるとともに、社会保障の枠にとらわれることなく次世代育成支援の推進を図る。
併せて、我が国の人口が転換期を迎えるこれからの5年間が重要な時期であるとの認識のもと、社会全体で次世代の育成を効果的に支援していくため、地域や家族の多様な子育て支援、働き方に関わる施策、児童手当等の経済的支援など多岐にわたる次世代育成支援施策について、総合的かつ効率的な視点に立って、その在り方等を幅広く検討する。
●育児休業法

少子化が進む中、働く人々の仕事と家庭の両立支援を充実するため、男女労働者が育児の為に退職することなくその能力を有効に発揮することを確保するために、1992年に施行された。その後「改正育児・介護休業法」として2001年成立、不利益扱いの禁止、職業家庭両立推進者の選任、国による意識啓発、育児・介護者をする労働者の時間外労働の規制、又それらを理由としる解雇や不利益の禁止などが施行された。
●全国に広がる育児支援団体

働く親のためなど、一時預かりをしたり、ベビーシッターを派遣したりする企業やNPO、ボランティアなど、増加している。
●無認可保育所

知事の認可が必要とされる保育所にあって、その認可がなく保育サービスを提供している施設。「ベビーホテル」「事業所内保育所」「駅型保育所」「共同保育所」「保育ママ」など。弊害も多く、劣悪な環境での保育が社会問題にもなった。しかし近年改善され、また必要性から「無認可」というマイナスイメージを離し、「認可外保育所」「未認可保育所」などとも呼ばれ、児童福祉法一部改正で、罰則事項を盛り込んだ届出義務、利用者への重要事項の掲示、書面交付、知事に対する運営状況の年次報告義務が法定化された。多様な保育ニーズが背景としてある。
●育児放棄

ネグレクトとは、児童虐待、障害者虐待、高齢者虐待のひとつ。子供に対するネグレクトは育児放棄、育児怠慢、監護放棄とも言う。また、ペットの飼育放棄に対しても指すことがある。
英語のNeglectの「怠慢・粗略」「無視・軽視」から生まれた用法であるが、派生語としての同義語であるNegligenceは運転者のネグリジェンス・機長や船長のネグリジェンス・危険物管理者のネグリジェンスなどというように、全ての分野における義務不履行や(職務などの)怠慢を意味して使われるので注意が必要である。
心理的虐待および身体的虐待の一種でもあり、「自らの実子への無視」「特に自立性や自救能力が低く、幼児や低年齢児童の養育を著しく怠ること」を指す場合が多い。具体的には「食事や衣服を定期的に供与しない」「排泄物や廃棄物の始末を適切に行わない」「長時間の保護放棄」などがあり、しばしば虐待を伴う。その結果、子供は健全な心身の発育を妨げられ、最悪の場合は死に至ることもある。また生存し、その後成人しても殺人などの凶悪犯罪に走るケースも少なくない(当の子供が成人した場合、当人のみの責任となり、親の責任が一切問われなくなる)。

積極的ネグレクトと消極的ネグレクト
現代社会においてネグレクト(育児放棄)と言われる現象は積極的ネグレクトと消極的ネグレクトの2つに分けられる。「積極的ネグレクト」は、子育てのできない明確な理由(「親に養育の知識がない」「経済力の不足」など)がないのに育児を放棄することを指す。対して、「消極的ネグレクト」は、「親の経済力の不足」「精神的疾患を抱えている」「知的障害がある」「(知的障害はないが)無学である」などの理由で育児ができないことを指す。


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