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第一面 i n d e x > 家庭・暮らし・教育 > 自然分娩・乳児突然死
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『自然分娩・乳児突然死』


●自然分娩



こんにち「自然分娩」とは、「出産スタイル」をあらわす言葉ではなく「出産の意識」をしめす言葉になりつつある。
自然分娩は、字義通り「自然なる分娩」をさしてはいるが、むしろ、そこへいたる「プロセス」をこそ、大切にする。
なにも意識をせず、心の準備や、環境を整えず、ただ、自然のように産み落とすことを、自然分娩とはいわない。
自然分娩というものがうまれたのには、背景があった。
女性が、女性として、主体的に「妊娠」「出産」と向かいあったなかで「勝ち取ってきた」出産方法だった。

自分のお腹にやってきてくれた愛しい子。
どのように赤ちゃんとともに過ごし、
どのような「出産」で家族に赤ちゃんを迎え入れるのか。
女性の人生の大イベントである出産。
肉体的にも、精神的にも、要求されるものは大きい。

医師出会ったとしても「男性」が、理解し、介入できるのか。
経済的、社会的、生活地域、家族としての不安。
ときに「国家」が介入する恐れさえある。
「妊娠」「出産」というドラマのなかに、社会がすっぽりと入り、世相が反映され、時代の価値観が色濃く投影される。

すべての妊婦は、安全で、安心で、心地よい出産を願っているのだろう。
すべての人間が、母の出産によって、この地上にうまれた。

自然分娩、とは、いわば福祉の根幹をなす「視線」でもある。
日本も自宅で行う自然分娩が多かったが、施設内分娩が増え、現在では99%にまでなった。
結果、周産期死亡率は低下し、未熟児ではあっても無事生育することが可能となった。
妊娠・出産は疾病ではない。
だが多くは病院で対応している。
本来なら陣痛など胎児や母胎の個的で自主的な生まれたい/産みたいという両者共同の連帯感で行われるべきものが、医師や医療の介入によって、出産を誘発/調整され、例えば顕著な例として、早朝、深夜、土日、祝祭日が避けられるといったことが起こる。
母胎も出産というダイナミックな活動に対して、現代の女性の多くが精神的にも肉体的にも未対応/未熟で、病院による出産に依存していることも否めない。
そうした反省から自然分娩への再評価が高まっている。
まれではあるが、自然分娩は母子の死の危険性が完全には払拭できない。
病院での出産が大半となった現在、医療機材や薬に頼り過ぎるお産のあり方に疑問がなげかけられ「自然な営みとしての出産に立ち戻ろう」という動きが出てきた。
麻酔や陣痛促進剤などに頼らず、自然の陣痛を待ち、女性本来の自然な力で産道を通して(経腟分娩)赤ちゃんを産もうというものだ。
助産院や自宅出産では、当然、自然分娩が行なわれ、経験を積んだ助産師の介助で、上手にいきみのリズムを整え、会陰が切れないようにのばす介助がされる。
病院や医院での出産が主流となる現在、出産における医療の役割を守りながら、院内助産所の形態をとる施設もある。
女性が主体的に産むことを考えた、自然分娩、無痛分娩など様々な出産方法がある。
自分らしく産むことを一番に考える。
妊娠したら、又は妊娠する前から自分に合った産院探しをすること。
ポイントとしては、
・安心して前向きに通院できるか。充実した妊娠期を過ごせるか。
・出産に関する方針が自分の思い描くものと一致しているか。
・妊娠期、分娩時に緊急事態があった場合、どのようなバックアップ体制があるか。
・入院中の環境やスタッフのフォローが満足できそうか。
・退院後、どこまでフォローしてもらえるか。母子に何かあった時すぐ相談できる安心を得られるか。 などが挙げられる。

●自然分娩ができなくとも

医療介入があっても、
自然分娩に向けて、自分の出来る範囲で努力して、心と体を整えていく。
そのプロセスはけっして無駄にはならず、自信は、育児の大きな支えになるだろう。
妊娠や分娩中の過程での医療行為が必要となり、帝王切開や吸引・鉗子分娩になったとしても、自分や家族にとって大切な新しい命を守るために行ったものであると信じるべきである。
●乳幼児突然死症候群(SIDS)

乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断は、原則として新生児期を含めて一歳未満。
一歳を超える場合、年齢以外の定義をみたす場合に限り乳幼児突然死症候群(SIDS)とする。
 わが国ではSIDSは減少しているものの、未だに年間100名余が死亡している。
SIDSはなんらかの病因を有する疾患であるにもかかわらず、病理学的所見が認められないものであることから、診断には解剖による精査が必須である。
ただ、一歳未満の乳幼児突然死のうち、病歴、健康状態、死亡時の状況、精密な解剖を行っても死亡の原因を特定できない、ともいわれている。
SIDSの診断は剖検に基づいて行い、解剖がなされない場合、あるいは死亡状況調査が実施されない場合は、死因の分類が事実上、不可能であり、したがって、死亡診断書(死体検案書)の分類上は「不詳」となる。
健康にみえる乳児が、何の前触れもなく突然呼吸停止し、死亡する。
ほとんどが、苦しんだ様子がみられない。
だが、SIDSは、親や育児にあたっていた者からの申告だけで、正確な診断ができるわけではない。
ひそかにDVが行われていて、乳児が「静かになった」「眠ったように見えた」と申告された場合、誤診につながる可能性がある。虐待や殺人などによる意図的な窒息死は、SIDSとの鑑別が困難な場合がある。
外因死の異状は、警察に届け出る必要がある。
日本では剖検せず、虐待や殺人に気づかず、SIDSと診断することが多く、外因死の隠れ蓑、裁判における免罪符となることが多いともいわれている。後になって、虐待が判明することもある。
医学的な結論を出す前に、「犯罪の可能性」「事故の可能性」を排除するための調査をおこなう必要がある。こうした「死亡状況調査」は、SIDSであることを確認する必須前提とされる。
SIDSの原因は、現在も不明である。
単一の原因なのか、複数の原因が重なったことによるものなのであるのか、も判明していない。
「呼吸器の先天的・後天的疾患」などの仮説がある。
SIDSは、「除外診断」ではなく一つの「疾患単位」
診断のためには、SIDS以外の乳幼児に、突然の死をもたらす疾患、窒息、虐待、などの外因死との鑑別診断が必要。
外因死の診断には、死亡現場の状況、法医学的な証拠を必要とする。
外因死の中でも「窒息死」と診断するためには、「体位」だけでなく、ほかにも、ベッドの隙間や柵に頭部が挟まれたことによる事故、などの直接死因を説明しうる物理的状況が必要である。
寝具でのうつぶせ、というだけでは診断されない。

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