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バースコントロール



『バースコントロール』とはなにか

バースコントロールは、「子どもを受胎、妊娠、出産」といった行為を、コントロールするか、否か、といった表面的な問題に加え、そもそも、「子どもを受胎、妊娠、出産」といったことの主体者はだれであるのか、といった問いかけから発する。
たとえば「避妊」は、現代の日本女性なら、ごく自然に受け入れられる考え方といえるかもしれないが、世界に視野を広げると、スタンダードなものではない。
人間を、神の創造物と考えるひとびとからは、たとえ母親であったとしても「受胎、妊娠、出産」に、人間として、能動的に関与すべきではない、とする。
他方、女性の自立、解放を積極的に支援する立場のジェンダーの視点からすれば、現代の「避妊」という考え方にたいしても、ただ単に、避妊具をつけるとか、妊娠しそうな日に性交渉をしないといった行動だかりではなく、「受胎する/受胎を望まない」「妊娠する/妊娠を望まない」「出産する/出産を望まない」といった、能動的にして、主体的な決定権そのものを主張している。
現代の性と生殖をめぐる 諸問題の関連。
「生殖」への関心や意識、考え方は、歴史的にも、社会的にも、文化的にも、激しく変化してきた。単純な変遷ではなく、紆余曲折し、つねに人間社会の力関係が影響していた。
「避妊/堕胎」を道徳規範のなかで語られた時代があった。
「バース・コントロール」が、広く浸透するようになった現代でも、女性の生殖において、必ず「社会性」が色濃く影響している。
「障害児(者)」をのぞまない。
「優れた人間を『遺伝的に』のこしたい」
こうした根強い「優生学」の影響下から、本質的に脱却することができないでいるのもまた事実だ。
あるいはまた、単純に「性愛」というくくりで論じることも限界があるともいえる。
「結婚」といった、社会的契約行為との関係も無視できない。
「受胎、妊娠、出産」は、既婚者のみ許される特権であるといった通念もまた、あいかわらず広く共有されているのも、否定できない。
『バースコントロール』は、こうした背景のもと、意識的に、あるいは無意識に行われている。
ジェンダーの対語ともいうべき、「セクシャリティ」の意識の変化にも注目すべきだろう。
女性は、女性としての自立、自尊を訴え、めざしてきたが、男性の価値観を、無反省で導入し、従属することに反旗を翻してきた歴史があるが、こんにち、「攻撃的主張」は衰退し、むしろ、かつて女性解放運動家たちが批判してきた「女性的」なるもの、いわゆる「フェミニズム」への接近も、注目すべきだろう。
「フェミニズムと バース・コントロール」あるいは、「女の身体に対する自決権」という観点こそが、ラディカルに論じられる必要がある。
19世紀半ばから急増したといわれる堕胎。
多くの国が禁止していた堕胎がなぜ減らなかったのか。
堕胎は、自分のからだを管理 したいと願う女にとって開かれた重要な選択肢である。
人口の国家管理もふくめ、生殖を管理する主体が、男へ移ってきたことは注目すべきだろう。

欧米のバース・コントロール運動
日本の産児制限運動
ピル


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