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『自衛隊法』

(昭和二十九年六月九日法律第百六十五号)
最終改正:平成二八年五月二〇日法律第四四号


   第一章 総則

(この法律の目的)
第一条 この法律は、自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織及び編成、自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱等を定めることを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「自衛隊」とは、防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与及び防衛大臣秘書官並びに防衛省の事務次官及び防衛審議官並びに防衛省本省の内部部局、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛会議、統合幕僚監部、情報本部、防衛監察本部、地方防衛局その他の機関(政令で定める合議制の機関並びに防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四条第一項第二十四号又は第二十五号に掲げる事務をつかさどる部局及び職で政令で定めるものを除く。)並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊並びに防衛装備庁(政令で定める合議制の機関を除く。)を含むものとする。
2 この法律において「陸上自衛隊」とは、陸上幕僚監部並びに統合幕僚長及び陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
3 この法律において「海上自衛隊」とは、海上幕僚監部並びに統合幕僚長及び海上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
4 この法律において「航空自衛隊」とは、航空幕僚監部並びに統合幕僚長及び航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
5 この法律(第九十四条の七第三号を除く。)において「隊員」とは、防衛省の職員で、防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与、防衛大臣秘書官、第一項の政令で定める合議制の機関の委員、同項の政令で定める部局に勤務する職員及び同項の政令で定める職にある職員以外のものをいうものとする。

(自衛隊の任務)
第三条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
2 自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であつて、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。
一 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動
二 国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動
3 陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。

(自衛隊の旗)
第四条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、自衛隊旗又は自衛艦旗を自衛隊の部隊又は自衛艦に交付する。
2 前項の自衛隊旗及び自衛艦旗の制式は、政令で定める。

(表彰)
第五条 隊員又は防衛省本省の防衛大学校、防衛医科大学校、情報本部、防衛監察本部、地方防衛局その他の政令で定める機関、自衛隊の部隊若しくは機関若しくは防衛装備庁の施設等機関で、功績があつたものに対しては防衛大臣又はその委任を受けた者が、特に顕著な功績があつたものに対しては内閣総理大臣が表彰する。
2 前項に定めるもののほか、自衛隊の表彰に関し必要な事項は、政令で定める。

(礼式)
第六条 自衛隊の礼式は、防衛省令の定めるところによる。

   第二章 指揮監督

(内閣総理大臣の指揮監督権)
第七条 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。

(防衛大臣の指揮監督権)
第八条 防衛大臣は、この法律の定めるところに従い、自衛隊の隊務を統括する。ただし、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の部隊及び機関(以下「部隊等」という。)に対する防衛大臣の指揮監督は、次の各号に掲げる隊務の区分に応じ、当該各号に定める者を通じて行うものとする。
一 統合幕僚監部の所掌事務に係る陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の隊務 統合幕僚長
二 陸上幕僚監部の所掌事務に係る陸上自衛隊の隊務 陸上幕僚長
三 海上幕僚監部の所掌事務に係る海上自衛隊の隊務 海上幕僚長
四 航空幕僚監部の所掌事務に係る航空自衛隊の隊務 航空幕僚長

(幕僚長の職務)
第九条 統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)は、防衛大臣の指揮監督を受け、それぞれ前条各号に掲げる隊務及び統合幕僚監部、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の隊員の服務を監督する。
2 幕僚長は、それぞれ前条各号に掲げる隊務に関し最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する。
3 幕僚長は、それぞれ、前条各号に掲げる隊務に関し、部隊等に対する防衛大臣の命令を執行する。

(統合幕僚長とその他の幕僚長との関係)
第九条の二 統合幕僚長は、前条に規定する職務を行うに当たり、部隊等の運用の円滑化を図る観点から、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長に対し、それぞれ第八条第二号から第四号までに掲げる隊務に関し必要な措置をとらせることができる。

   第三章 部隊

   第一節 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成

(編成)
第十条 陸上自衛隊の部隊は、方面隊、中央即応集団その他の防衛大臣直轄部隊とする。
2 方面隊は、方面総監部及び師団、旅団その他の直轄部隊から成る。ただし、方面総監部及び師団以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
3 師団は、師団司令部及び連隊その他の直轄部隊から成る。
4 旅団は、旅団司令部及び連隊その他の直轄部隊から成る。
5 中央即応集団は、中央即応集団司令部及び団、連隊その他の直轄部隊から成る。

(方面総監)
第十一条 方面隊の長は、方面総監とする。
2 方面総監は、防衛大臣の指揮監督を受け、方面隊の隊務を統括する。

(師団長)
第十二条 師団の長は、師団長とする。
2 師団長は、方面総監の指揮監督を受け、師団の隊務を統括する。

(旅団長)
第十二条の二 旅団の長は、旅団長とする。
2 旅団長は、方面総監の指揮監督を受け、旅団の隊務を統括する。

(中央即応集団司令官)
第十二条の三 中央即応集団の長は、中央即応集団司令官とする。
2 中央即応集団司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、中央即応集団の隊務を統括する。

(部隊の長)
第十三条 方面隊、師団、旅団及び中央即応集団以外の部隊の長は、防衛大臣の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。

(方面隊、師団及び旅団の名称等)
第十四条 方面隊、師団及び旅団の名称並びに方面総監部、師団司令部及び旅団司令部の名称及び所在地は、別表第一のとおりとする。
2 特別の事由によつて方面隊、師団及び旅団並びに方面総監部、師団司令部及び旅団司令部(以下この条において「方面隊等」という。)を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で方面隊等を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。

   第二節 海上自衛隊の部隊の組織及び編成

(編成)
第十五条 海上自衛隊の部隊は、自衛艦隊、地方隊、教育航空集団、練習艦隊その他の防衛大臣直轄部隊とする。
2 自衛艦隊は、自衛艦隊司令部及び護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海隊群その他の直轄部隊から成る。ただし、自衛艦隊司令部、護衛艦隊、航空集団及び潜水艦隊以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
3 護衛艦隊は、護衛艦隊司令部及び護衛隊群その他の直轄部隊から成る。
4 航空集団は、航空集団司令部及び航空群その他の直轄部隊から成る。
5 潜水艦隊は、潜水艦隊司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る。
6 地方隊は、地方総監部及び掃海隊、基地隊その他の直轄部隊から成る。ただし、地方総監部以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
7 教育航空集団は、教育航空集団司令部及び教育航空群その他の直轄部隊から成る。
8 練習艦隊は、練習艦隊司令部及び練習隊その他の直轄部隊から成る。

(自衛艦隊司令官)
第十六条 自衛艦隊の長は、自衛艦隊司令官とする。
2 自衛艦隊司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、自衛艦隊の隊務を統括する。

(護衛艦隊司令官)
第十六条の二 護衛艦隊の長は、護衛艦隊司令官とする。
2 護衛艦隊司令官は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、護衛艦隊の隊務を統括する。

(航空集団司令官)
第十六条の三 航空集団の長は、航空集団司令官とする。
2 航空集団司令官は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、航空集団の隊務を統括する。

(潜水艦隊司令官)
第十六条の四 潜水艦隊の長は、潜水艦隊司令官とする。 2 潜水艦隊司令官は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、潜水艦隊の隊務を統括する。

(地方総監)
第十七条 地方隊の長は、地方総監とする。
2 地方総監は、防衛大臣の指揮監督を受け、地方隊の隊務(自衛艦隊その他の防衛大臣直轄部隊に対する補給その他防衛大臣の定める事項を含む。)を統括する。

(教育航空集団司令官)
第十七条の二 教育航空集団の長は、教育航空集団司令官とする。
2 教育航空集団司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、教育航空集団の隊務を統括する。

(練習艦隊司令官)
第十七条の三 練習艦隊の長は、練習艦隊司令官とする。
2 練習艦隊司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、練習艦隊の隊務を統括する。

(部隊の長)
第十八条 自衛艦隊、護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、地方隊、教育航空集団及び練習艦隊以外の部隊の長は、防衛大臣の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。

(地方隊の名称等)
第十九条 地方隊の名称並びに地方総監部の名称及び所在地は、別表第二のとおりとする。
2 特別の事由によつて地方隊及び地方総監部を増置し、若しくは廃止し、又は地方隊及び地方総監部の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で地方隊及び地方総監部を増置し、若しくは廃止し、又は地方隊及び地方総監部の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。

   第三節 航空自衛隊の部隊の組織及び編成

(編成)
第二十条 航空自衛隊の部隊は、航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団その他の防衛大臣直轄部隊とする。
2 航空総隊は、航空総隊司令部及び航空方面隊、航空混成団、航空救難団、航空戦術教導団その他の直轄部隊から成る。
3 航空方面隊は、航空方面隊司令部及び航空団その他の直轄部隊から成る。
4 航空混成団は、航空混成団司令部及び航空団その他の直轄部隊から成る。
5 航空支援集団は、航空支援集団司令部及び輸送航空隊、航空保安管制群、航空気象群その他の直轄部隊から成る。
6 航空教育集団は、航空教育集団司令部及び航空団、飛行教育団その他の直轄部隊から成る。
7 航空団は、航空団司令部及び飛行群その他の直轄部隊から成る。
8 航空開発実験集団は、航空開発実験集団司令部及び飛行開発実験団その他の直轄部隊から成る。

(航空総隊司令官)
第二十条の二 航空総隊の長は、航空総隊司令官とする。
2 航空総隊司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、航空総隊の隊務を統括する。

(航空支援集団司令官)
第二十条の三 航空支援集団の長は、航空支援集団司令官とする。
2 航空支援集団司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、航空支援集団の隊務を統括する。

(航空教育集団司令官)
第二十条の四 航空教育集団の長は、航空教育集団司令官とする。
2 航空教育集団司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、航空教育集団の隊務を統括する。

(航空開発実験集団司令官)
第二十条の五 航空開発実験集団の長は、航空開発実験集団司令官とする。
2 航空開発実験集団司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、航空開発実験集団の隊務を統括する。

(航空方面隊司令官)
第二十条の六 航空方面隊の長は、航空方面隊司令官とする。
2 航空方面隊司令官は、航空総隊司令官の指揮監督を受け、航空方面隊の隊務を統括する。

(航空混成団司令)
第二十条の七 航空混成団の長は、航空混成団司令とする。
2 航空混成団司令は、航空総隊司令官の指揮監督を受け、航空混成団の隊務を統括する。

(航空団司令)
第二十条の八 航空団の長は、航空団司令とする。
2 航空教育集団に属する航空団の航空団司令は航空教育集団司令官の、航空方面隊に属する航空団の航空団司令は航空方面隊司令官の、航空混成団に属する航空団の航空団司令は航空混成団司令の指揮監督を受け、航空団の隊務を統括する。

(部隊の長)
第二十条の九 航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団、航空方面隊、航空混成団及び航空団以外の部隊の長は、防衛大臣の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。

(航空総隊等の名称等)
第二十一条 航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団、航空方面隊、航空混成団及び航空団(以下「航空総隊等」という。)の名称並びに航空総隊司令部、航空支援集団司令部、航空教育集団司令部、航空開発実験集団司令部、航空方面隊司令部、航空混成団司令部及び航空団司令部(以下「航空総隊司令部等」という。)の名称及び所在地は、別表第三のとおりとする。
2 特別の事由によつて航空総隊等及び航空総隊司令部等を増置し、若しくは廃止し、又は航空総隊等の名称並びに航空総隊司令部等の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で航空総隊等及び航空総隊司令部等を増置し、若しくは廃止し、又は航空総隊等の名称並びに航空総隊司令部等の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。

   第四節 共同の部隊

第二十一条の二 陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の防衛大臣直轄部隊(方面隊、中央即応集団、自衛艦隊、地方隊、教育航空集団、練習艦隊、航空総隊、航空支援集団、航空教育集団及び航空開発実験集団を除く。)は、統合運用による円滑な任務遂行上一体的運営を図る必要がある場合には、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として置くことができる。
2 前項の共同の部隊の運用に係る防衛大臣の指揮は、統合幕僚長を通じて行い、これに関する防衛大臣の命令は、統合幕僚長が執行するものとするほか、当該部隊に対する防衛大臣の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、防衛大臣の定めるところによる。

   第五節 部隊編成の特例及び委任規定

(特別の部隊の編成)
第二十二条 内閣総理大臣は、第七十六条第一項、第七十八条第一項、第八十一条第二項又は第八十一条の二第一項の規定により自衛隊の出動を命じた場合には、特別の部隊を編成し、又は所要の部隊をその隸属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に置くことができる。
2 防衛大臣は、第七十七条の四の規定による国民保護等派遣、第八十二条の規定による海上における警備行動、第八十二条の二の規定による海賊対処行動、第八十二条の三第一項の規定による弾道ミサイル等に対する破壊措置、第八十三条第二項の規定による災害派遣、第八十三条の二の規定による地震防災派遣、第八十三条の三の規定による原子力災害派遣、第八十四条の三第一項の規定による保護措置、訓練その他の事由により必要がある場合には、特別の部隊を臨時に編成し、又は所要の部隊をその隸属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に置くことができる。
3 前二項の規定により編成され、又は同一指揮官の下に置かれる部隊が陸上自衛隊の部隊、海上自衛隊の部隊又は航空自衛隊の部隊のいずれか二以上から成る場合における当該部隊の運用に係る防衛大臣の指揮は、統合幕僚長を通じて行い、これに関する防衛大臣の命令は、統合幕僚長が執行するものとするほか、当該部隊に対する防衛大臣の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、防衛大臣の定めるところによる。

(委任規定)
第二十三条 本章に定めるもののほか、自衛隊の部隊の組織、編成及び警備区域に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 機関

(機関)
第二十四条 陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関の種類は、次のとおりとする。ただし、その一部を置かないことができる。
一 学校
二 補給処
三 病院
四 地方協力本部
2 前項に規定するもののほか、陸上自衛隊の機関として研究本部及び補給統制本部を、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関として補給本部を置くことができる。
3 前二項に規定するもののほか、臨時に陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関として捕虜収容所を置くことができる。
4 前三項に規定するもののほか、自衛隊の業務遂行上特に必要がある場合には、政令で定めるところにより、臨時に陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関を置くことができる。
5 第一項、第三項及び第四項の機関は、自衛隊の業務遂行上一体的運営を図る必要がある場合には、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の機関として置くことができる。
6 前項の規定により共同の機関が置かれた場合における当該機関に対する防衛大臣の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、防衛大臣の定めるところによる。

(学校)
第二十五条 学校においては、隊員に対しその職務を遂行するに必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練(病院の所掌に係るものを除く。)を行うとともに、海上自衛隊の学校、政令で定める航空自衛隊の学校又は前条第四項の規定に基づき置かれた学校においてはそれぞれ各種部隊の運用等に関する調査研究を行う。
2 前項に規定するもののほか、学校は、第百条の二の規定により防衛大臣が受託した外国人及び技術者の教育訓練で前項の知識及び技能と同種の知識及び技能を修得させるためのものを実施する。
3 学校に、校長を置き、自衛官をもつて充てる。
4 校長は、防衛大臣の定めるところにより、校務を掌理する。
5 政令で定める陸上自衛隊の学校においては、第一項の規定にかかわらず、陸曹長以下三等陸曹以上の自衛官となるべき者に必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行う。
6 前項の教育訓練を受けている者(以下「生徒」という。)の員数は、防衛省の職員の定員外とする。
7 政令で定める航空自衛隊の学校の校長がその校務を掌理するに当たつては、航空教育集団司令官の指揮監督を受けるものとする。

(補給処)
第二十六条 補給処においては、自衛隊の需品、火器、弾薬、車両、船舶、航空機、施設器材、通信器材、衛生器材等の調達、保管、補給又は整備及びこれらに関する調査研究を行う。
2 補給処に、処長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 処長は、防衛大臣の定めるところにより、処務を掌理する。ただし、防衛大臣は、必要があると認める場合には、方面総監に陸上自衛隊の補給処の処長を指揮監督させることができる。
4 陸上自衛隊の補給処の処長がその処務を掌理するに当たつては、補給統制本部長の統制に従わなければならない。
5 海上自衛隊又は航空自衛隊の補給処の処長がその処務を掌理するに当たつては、補給本部長の指揮監督を受けるものとする。

(病院)
第二十七条 病院においては、隊員その他政令で定める者の診療を行うとともに、診療に従事する隊員の当該専門技術に関する訓練又は看護に従事する隊員の養成及び医療その他の衛生に関する調査研究を行う。
2 病院に、病院長を置き、自衛官又は技官をもつて充てる。
3 病院長は、防衛大臣の定めるところにより、院務を掌理する。ただし、防衛大臣は、必要があると認める場合には、方面総監、地方総監又は航空総隊司令官に指揮監督させることができる。

(研究本部)
第二十七条の二 研究本部においては、陸上自衛隊における部隊の運用等に関する調査研究を行う。
2 研究本部に、研究本部長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 研究本部長は、防衛大臣の定めるところにより、部務を掌理する。

(補給統制本部)
第二十七条の三 補給統制本部においては、陸上自衛隊における第二十六条第一項に規定する事務の実施の企画、総合調整及び統制業務並びに同項に規定する調達の事務のうち防衛大臣が定めるものを行う。
2 補給統制本部に、補給統制本部長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 補給統制本部長は、防衛大臣の定めるところにより、部務を掌理する。

(補給本部)
第二十七条の四 補給本部においては、海上自衛隊又は航空自衛隊における第二十六条第一項に規定する事務の実施の企画及び総合調整並びに海上自衛隊又は航空自衛隊の補給処の管理を行うとともに、海上自衛隊の補給本部においては、同項に規定する調達の事務のうち防衛大臣が定めるものを行う。
2 補給本部に、補給本部長を置き、自衛官をもつて充てる。
3 補給本部長は、防衛大臣の定めるところにより、部務を掌理する。ただし、防衛大臣は、必要があると認める場合には、自衛艦隊司令官又は航空総隊司令官に指揮監督させることができる。

(特別の事務)
第二十八条 防衛大臣は、必要があると認めるときは、校長、処長、病院長、研究本部長、補給統制本部長又は補給本部長に校務、処務、院務又は部務以外の事務を処理させることができる。この場合においては、防衛大臣は、これらの事務について方面総監、師団長、旅団長、自衛艦隊司令官、地方総監又は航空総隊司令官に校長、処長、病院長、研究本部長、補給統制本部長又は補給本部長を指揮監督させることができる。

(地方協力本部)
第二十九条 地方協力本部においては、地方における渉外及び広報、自衛官及び自衛官候補生の募集その他防衛大臣の定める事務を行う。
2 地方協力本部に、地方協力本部長を置き、自衛官又は事務官をもつて充てる。
3 地方協力本部長は、防衛大臣の定めるところにより、方面総監の指揮監督を受け、部務を掌理する。

(捕虜収容所)
第二十九条の二 捕虜収容所においては、武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成十六年法律第百十七号)の規定による捕虜等の抑留及び送還のほか、防衛大臣の定める事務を行う。
2 捕虜収容所に、所長を置き、自衛官(三等陸尉、三等海尉又は三等空尉以上の者に限る。)をもつて充てる。
3 所長は、防衛大臣の定めるところにより、所務を掌理する。

(委任規定)
第三十条 本章に定めるもののほか、機関の名称、位置、所掌事務、補給処の支処その他の地方機関の設置その他機関に関し必要な事項は、政令で定める。

   第五章 隊員

   第一節 通則

(定義)
第三十条の二 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 採用 隊員以外の者を隊員に任命すること(臨時的な任用を除く。)をいう。
二 昇任 自衛官にあつてはその者を現に任命されている階級より上位の階級に任命することをいい、自衛官以外の隊員(非常勤の隊員を除く。以下この項、第三十五条第二項第二号及び第三十七条第一項第二号において同じ。)にあつてはその者を現に任命されている官職より上位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
三 降任 自衛官にあつてはその者を現に任命されている階級より下位の階級に任命することをいい、自衛官以外の隊員にあつてはその者を現に任命されている官職より下位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
四 転任 自衛官以外の隊員を現に任命されている官職以外の官職に任命することであつて、前二号に定めるものに該当しないものをいう。
五 標準職務遂行能力 自衛官以外の隊員について、職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として防衛大臣が内閣総理大臣と協議して定めるものをいう。
六 幹部隊員 防衛省の事務次官若しくは防衛審議官、防衛省本省の官房長、局長若しくは次長、防衛装備庁長官若しくは防衛装備庁の部長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「幹部職」という。)を占める自衛官以外の隊員をいう。
七 管理隊員 防衛省本省若しくは防衛装備庁の内部部局の課長の官職又はこれに準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「管理職」という。)を占める自衛官以外の隊員をいう。
2 前項第五号の標準的な官職は、係員、係長、部員、課長その他の官職とし、職制上の段階及び職務の種類に応じ、防衛省令で定める。

(任命権者等)
第三十一条 隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職及び懲戒処分(次項において「任用等」という。)は、幹部隊員にあつては防衛大臣が、幹部隊員以外の隊員にあつては防衛大臣又はその委任を受けた者(防衛装備庁の職員である隊員(自衛官を除く。)にあつては、防衛装備庁長官又はその委任を受けた者)が行う。
2 防衛装備庁長官は、防衛装備庁における適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、防衛大臣に対し、防衛装備庁の職員である自衛官の任用等について意見を述べることができる。この場合において、防衛大臣は、その意見を尊重するものとする。
3 隊員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、隊員の採用年次、合格した試験の種類及び課程対象者(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第六十一条の九第二項第二号に規定する課程対象者をいう。以下この項及び第三十一条の六第一項において同じ。)であるか否か又は課程対象者であつたか否かにとらわれてはならず、この法律に特段の定めがある場合を除くほか、人事評価(隊員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)に基づいて適切に行われなければならない。
4 隊員の退職管理は、防衛大臣が行う。ただし、第六十五条の二第二項第一号に規定する若年定年等隊員以外の隊員の退職管理(第六十五条の三第二項第五号、同条第六項において準用する国家公務員法第百六条の三第五項、第六十五条の四第五項第六号、同条第九項において準用する同法第百六条の四第八項、第六十五条の四第十項、第六十五条の八第一項において準用する同法第十八条の三第一項、第十八条の四(同項に係る部分に限る。)、第百六条の十六から第百六条の二十まで、第百六条の二十一第一項及び第二項並びに第百六条の二十二並びに第六十五条の九の規定に係るものに限る。次項において同じ。)にあつては、内閣総理大臣が行う。
5 隊員の任免、分限、懲戒、服務、退職管理その他人事管理に関する基準(国家公務員法第五十四条に規定する採用昇任等基本方針に準じ内閣総理大臣と協議して定めるものを含む。)は、この法律に定めるもののほか、防衛大臣(第六十五条の二第二項第一号に規定する若年定年等隊員以外の隊員の退職管理に関する基準にあつては、内閣総理大臣)が定める。

(人事評価)
第三十一条の二 隊員の人事評価は、公正に行われなければならない。
2 隊員の執務については、防衛大臣若しくは防衛装備庁長官又はその委任を受けた者は、定期的に人事評価を行わなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は、防衛大臣が定める。

(幹部候補者名簿に記載されている者の中からの任用)
第三十一条の三 選考による隊員(自衛官を除く。以下この条、次条、第三十一条の六、第四十二条の二、第四十四条の二、第四十四条の三及び第四十四条の五において同じ。)の採用であつて、幹部職への任命に該当するものは、防衛大臣が、幹部候補者名簿(国家公務員法第六十一条の二第二項に規定する幹部候補者名簿をいう。以下この条において同じ。)に記載されている者であつて、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められるものの中から行うものとする。
2 隊員の昇任及び転任であつて、幹部職への任命に該当するものは、防衛大臣が、幹部候補者名簿に記載されている者であつて、隊員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められるものの中から行うものとする。
3 防衛大臣は、幹部候補者名簿に記載されている隊員の降任であつて、幹部職への任命に該当するものを行う場合には、当該隊員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる幹部職に任命するものとする。
4 国際機関又は民間企業に派遣されていたことその他の事情により人事評価が行われていない隊員のうち、幹部候補者名簿に記載されている隊員の昇任、転任又は降任であつて、幹部職への任命に該当するものについては、防衛大臣が、前二項の規定にかかわらず、人事評価以外の能力の実証に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うことができる。

(内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議に基づく任用等)
第三十一条の四 防衛大臣は、隊員の選考による採用、昇任、転任及び降任であつて幹部職への任命に該当するもの、幹部隊員の幹部職以外の官職への昇任、転任及び降任並びに幹部隊員の退職(政令で定めるものに限る。第四項において同じ。)及び免職(以下この条において「採用等」という。)を行う場合には、防衛省令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。
2 前項の場合において、災害その他緊急やむを得ない理由により、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議する時間的余裕がないときは、防衛大臣は、同項の規定にかかわらず、当該協議を行うことなく、隊員の採用等を行うことができる。
3 防衛大臣は、前項の規定により隊員の採用等を行つた場合には、内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく、当該採用等について、防衛省令で定めるところにより、内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない。
4 内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部隊員について適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、防衛大臣に対し、幹部隊員の昇任、転任、降任、退職及び免職(以下この項において「昇任等」という。)について協議を求めることができる。この場合において、協議が調つたときは、防衛大臣は、当該協議に基づいて昇任等を行うものとする。

(管理職への任用に関する運用の管理)
第三十一条の五 防衛大臣及び防衛装備庁長官は、政令で定めるところにより、定期的に、及び内閣総理大臣の求めがある場合には随時、管理職への任用の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。
2 内閣総理大臣は、第三十一条第五項の規定により採用昇任等基本方針に準じて防衛大臣が内閣総理大臣と協議して定める基準のうち、管理職への任用に関する基準に照らして必要があると認める場合には、防衛大臣又は防衛装備庁長官に対し、管理職への任用に関する運用の改善その他の必要な措置をとることを求めることができる。

(人事に関する情報の管理)
第三十一条の六 内閣総理大臣は、防衛大臣又は防衛装備庁長官に対し、政令で定めるところにより、幹部隊員、管理隊員、課程対象者である隊員その他これらに準ずる隊員として政令で定めるものの人事に関する情報の提供を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、前項の規定により提出された情報を適正に管理するものとする。

(自衛官の階級)
第三十二条 陸上自衛隊の自衛官の階級は、陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、准陸尉、陸曹長、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士及び二等陸士とする。
2 海上自衛隊の自衛官の階級は、海将、海将補、一等海佐、二等海佐、三等海佐、一等海尉、二等海尉、三等海尉、准海尉、海曹長、一等海曹、二等海曹、三等海曹、海士長、一等海士及び二等海士とする。
3 航空自衛隊の自衛官の階級は、空将、空将補、一等空佐、二等空佐、三等空佐、一等空尉、二等空尉、三等空尉、准空尉、空曹長、一等空曹、二等空曹、三等空曹、空士長、一等空士及び二等空士とする。

(服制)
第三十三条 自衛官、自衛官候補生、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補、学生(防衛省設置法第十五条第一項又は第十六条第一項(第三号を除く。)の教育訓練を受けている者をいう。第九十八条第一項を除き、以下同じ。)、生徒その他その勤務の性質上制服を必要とする隊員の服制は、防衛省令で定める。

(非常勤の隊員等の特例)
第三十四条 予備自衛官、即応予備自衛官及び予備自衛官補以外の非常勤の隊員、臨時的に任用された隊員、学生、生徒、法律により任期を定めて任用された隊員(第三十六条の規定により任用期間を定めて任用された自衛官を除く。)、第四十四条の四第一項、第四十四条の五第一項若しくは第四十五条の二第一項の規定により採用された隊員又は条件付採用期間中の隊員に対するこの章の規定の適用については、その職務と責任の特殊性に基づいて、政令で同章の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の特例(罰則の特例にあつては、当該罰則を適用しないこととするものに限る。)を定めることができる。

   第二節 任免

(隊員の採用)
第三十五条 隊員の採用は、試験によるものとする。ただし、試験以外の能力の実証に基く選考によることを妨げない。
2 前項の試験は、受験者が、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める能力及び適性(自衛官にあつては、能力。第三十七条において同じ。)を有するかどうかを判定することをもつてその目的とする。
一 自衛官 当該試験に係る階級において求められる能力
二 自衛官以外の隊員 当該試験に係る官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該試験に係る官職についての適性
3 第一項の試験及び選考その他隊員の採用の方法及び手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。

(陸士長等、海士長等及び空士長等の任用期間等)
第三十六条 陸士長、一等陸士及び二等陸士(以下「陸士長等」という。)は二年を、海士長、一等海士及び二等海士(以下「海士長等」という。)並びに空士長、一等空士及び二等空士(以下「空士長等」という。)は三年を任用期間として任用されるものとする。ただし、防衛大臣の定める特殊の技術を必要とする職務を担当する陸士長等は、その志願に基づき、三年を任用期間として任用されることができる。
2 自衛官候補生は、その修了後引き続いて前項の規定に基づき任用される自衛官として必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を受けるものとする。
3 自衛官候補生の任用期間は、三月を基準として前項に規定する教育訓練に要する期間を勘案して防衛省令で定めるものとし、自衛官候補生から引き続いて第一項の自衛官に任用された者の当該自衛官としての任用期間は、同項の規定にかかわらず、同項に規定する期間からその者の自衛官候補生としての任用期間に相当する期間を減じた期間とする。
4 自衛官候補生の員数は、防衛省の職員の定員外とする。
5 前各項の規定は、陸士長等、海士長等又は空士長等で、志願に基づき陸曹候補者、海曹候補者又は空曹候補者の指定を受けた者のうち防衛大臣の定めるものについては、適用しない。
6 第一項の任用期間の起算日は、同項の自衛官に任用された日とする。ただし、三等陸曹、三等海曹又は三等空曹以上の階級から降任された場合にあつては降任の日、前項に規定する陸曹候補者、海曹候補者又は空曹候補者の指定を受けた者のうち防衛大臣の定めるものがその指定を取り消された場合にあつては当該指定を取り消された日とする。
7 防衛大臣は、陸士長等、海士長等又は空士長等の任用期間が満了した場合において、当該陸士長等、海士長等又は空士長等が志願をしたときは、引き続き二年を任用期間としてこれを任用することができる。この場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。
8 防衛大臣は、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等が任用期間が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認める場合には、当該陸士長等、海士長等又は空士長等が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内、その他の場合にあつては六月以内の期間を限つて、任用期間を延長することができる。

(自衛官以外の隊員の任期を定めた採用)
第三十六条の二 第三十一条第一項の規定により隊員の任免について権限を有する者(以下「任命権者」という。)は、第三十五条の規定にかかわらず、高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者をその者が有する当該高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合には、防衛大臣の承認を得て、選考により、任期を定めて自衛官以外の隊員(法律により任期を定めて任用することとされている官職を占める隊員及び非常勤の隊員を除く。以下この条から第三十六条の四までにおいて同じ。)を採用することができる。
2 任命権者は、前項の規定によるほか、専門的な知識経験を有する者を当該専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させる場合において、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときであつて、当該者を当該業務に期間を限つて従事させることが公務の能率的運営を確保するために必要であるときは、防衛大臣の承認を得て、選考により、任期を定めて自衛官以外の隊員を採用することができる。
一 当該専門的な知識経験を有する自衛官以外の隊員の育成に相当の期間を要するため、当該専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させることが適任と認められる自衛官以外の隊員を部内で確保することが一定の期間困難である場合
二 当該専門的な知識経験が急速に進歩する技術に係るものであることその他当該専門的な知識経験の性質上、当該専門的な知識経験が必要とされる業務に当該者が有する当該専門的な知識経験を有効に活用することができる期間が一定の期間に限られる場合
三 前二号に掲げる場合に準ずる場合として政令で定める場合

第三十六条の三 前条各項の規定により採用される自衛官以外の隊員の任期は、五年を超えない範囲内で任命権者が定める。
2 任命権者は、前項の規定により任期を定めて自衛官以外の隊員を採用する場合には、当該自衛官以外の隊員にその任期を明示しなければならない。

第三十六条の四 任命権者は、第三十六条の二各項の規定により任期を定めて採用された自衛官以外の隊員(次条において「任期付隊員」という。)の任期が五年に満たない場合にあつては、防衛大臣の承認を得て、採用した日から五年を超えない範囲内において、その任期を更新することができる。
2 前条第二項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。

第三十六条の五 任命権者は、任期付隊員が採用時に占めていた官職においてその有する高度の専門的な知識経験又は優れた識見を活用して従事していた業務と同一の業務を行うことをその職務の主たる内容とする他の官職(自衛官をもつて充てることとされるものを除く。以下この条において同じ。)に任用する場合その他任期付隊員を任期を定めて採用した趣旨に反しない場合に限り、防衛大臣の承認を得て、任期付隊員を、その任期中、他の官職に任用することができる。

(研究員の任期を定めた採用)
第三十六条の六 任命権者は、第三十五条の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、選考により、任期を定めて自衛官以外の隊員(防衛省の機関又は部隊等の長その他の政令で定める官職を占める隊員及び非常勤の隊員を除く。第四項において同じ。)を採用することができる。
一 研究業績等により当該研究分野において特に優れた研究者と認められている者を招へいして、当該研究分野に係る高度の専門的な知識経験を必要とする研究業務(防衛装備庁の施設等機関その他の防衛省の機関又は部隊等において行う試験研究に関する業務をいう。以下この条及び次条において同じ。)に従事させる場合
二 独立して研究する能力があり、研究者として高い資質を有すると認められる者(この号の規定又は一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号)第三条第一項第二号の規定によりかつて任期を定めて採用されたことがある者を除く。)を、当該研究分野における先導的役割を担う有為な研究者となるために必要な能力のかん養に資する研究業務に従事させる場合
2 任命権者は、前項第一号の規定により任期を定めた採用を行う場合には、防衛大臣の承認を得なければならない。
3 任命権者は、第一項第二号の規定により任期を定めた採用を行う場合には、防衛大臣の定めるところにより定めた採用計画に基づいてしなければならない。この場合において、当該採用計画には、その対象となる研究業務及び選考の手続を定めるものとする。
4 第三十六条の二から前条までの規定は、自衛官以外の隊員であつて研究業務に従事するものについては、適用しない。

第三十六条の七 前条第一項第一号に規定する場合における任期は、五年を超えない範囲内で任命権者が定める。ただし、特に五年を超える任期を定める必要があると認める場合には、防衛大臣の承認を得て、七年(特別の計画に基づき期間を定めて実施される研究業務に従事させる場合にあつては、十年)を超えない範囲内で任期を定めることができる。
2 前条第一項第二号に規定する場合における任期は、三年(研究業務の性質上特に必要がある場合で、防衛大臣の承認を得たときは、五年)を超えない範囲内で任命権者が定める。
3 任命権者は、前二項の規定により任期を定めて隊員を採用する場合には、当該隊員にその任期を明示しなければならない。

第三十六条の八 任命権者は、第三十六条の六第一項第一号の規定により任期を定めて採用された隊員の任期が五年に満たない場合にあつては採用した日から五年、同項第二号の規定により任期を定めて採用された隊員の任期が三年に満たない場合(前条第二項の防衛大臣の承認を得て任期が定められた場合を除く。)にあつては採用した日から三年、当該隊員のうち同項の防衛大臣の承認を得て任期が定められた隊員の任期が五年に満たない場合にあつては採用した日から五年を超えない範囲内において、その任期を更新することができる。
2 前条第三項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。

(隊員の昇任、降任及び転任)
第三十七条 隊員の昇任及び転任(自衛官にあつては、昇任)は、隊員の幹部職への任命に該当するものを除き、人事評価に基づき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める能力及び適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
一 自衛官 任命しようとする階級において求められる能力
二 自衛官以外の隊員 任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性
2 隊員を降任させる場合(隊員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)は、懲戒処分による場合を除き、人事評価に基づき、当該隊員が、前項各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める能力及び適性を有すると認められる階級又は官職に任命するものとする。
3 国際機関又は民間企業に派遣されていたことその他の事情により、人事評価が行われていない隊員の昇任、降任又は転任(自衛官にあつては、昇任又は降任)については、隊員の幹部職への任命に該当するものを除き、前二項の規定にかかわらず、人事評価以外の能力の実証に基づき、第一項各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める能力及び適性を判断して行うことができる。
4 前三項に定めるもののほか、隊員の昇任、降任及び転任(自衛官にあつては、昇任及び降任)の方法及び手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。

(欠格条項)
第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、隊員となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
三 法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
2 隊員は、前項各号の一に該当するに至つたときは、防衛省令で定める場合を除き、当然失職する。

(人事に関する不正行為の禁止)
第三十九条 何人も、隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職、懲戒処分その他の人事に関する行為を不正に実現し、又は不正にその実現を妨げる目的をもつて、金銭その他の利益を授受し、提供し、若しくはその授受を要求し、若しくは約束し、脅迫、強制その他これに類する方法を用い、又は公の地位を利用し、若しくはその利用を提供し、要求し、若しくは約束し、あるいはこれらの行為に関与してはならない。

(退職の承認)
第四十条 第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。

(条件附採用)
第四十一条 隊員の採用は、すべて条件附のものとし、その隊員がその職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなる。
2 条件附採用に関し必要な事項及び条件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、防衛省令で定める。

   第三節 分限、懲戒及び保障

(身分保障)
第四十二条 隊員は、懲戒処分による場合及び次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その意に反して、降任され、又は免職されることがない。
一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 前二号に規定する場合のほか、その職務に必要な適格性を欠く場合
四 組織、編成若しくは定員の改廃又は予算の減少により、廃職又は過員を生じた場合

(幹部隊員の降任に関する特例)
第四十二条の二 防衛大臣は、幹部隊員(幹部職のうち職制上の段階が最下位の段階のものを占める幹部隊員を除く。以下この条において同じ。)について、次の各号に掲げる場合のいずれにも該当するときは、政令の定めるところにより、当該幹部隊員が前条各号に掲げる場合のいずれにも該当しない場合においても、その意に反して降任(直近下位の職制上の段階に属する幹部職への降任に限る。)を行うことができる。
一 当該幹部隊員が、人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、同じ職制上の段階に属する他の官職を占める他の幹部隊員に比して勤務実績が劣つているものとして政令で定める要件に該当する場合
二 当該幹部隊員が現に任命されている官職に幹部隊員となり得る他の特定の者を任命すると仮定した場合において、当該他の特定の者が、人事評価又は勤務の状況を示す事実その他の客観的な事実及び当該官職についての適性に照らして、当該幹部隊員より優れた業績を挙げることが十分見込まれる場合として政令で定める要件に該当する場合
三 当該幹部隊員について、欠員を生じ、若しくは生ずると見込まれる同じ職制上の段階に属する他の官職についての適性が他の候補者と比較して十分でない場合として政令で定める要件に該当すること若しくは同じ職制上の段階に属する他の官職の職務を行うと仮定した場合において当該幹部隊員が当該他の官職に現に就いている他の隊員より優れた業績を挙げることが十分見込まれる場合として政令で定める要件に該当しないことにより、転任させるべき適当な官職がないと認められる場合又は幹部隊員の任用を適切に行うため当該幹部隊員を降任させる必要がある場合として政令で定めるその他の場合

(休職)
第四十三条 隊員は、次の各号の一に該当する場合又は政令で定める場合を除き、その意に反して休職にされることがない。
一 心身の故障のため長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合

(休職の効果)
第四十四条 休職の期間は、政令で定める。ただし、前条第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。
2 休職者は、隊員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
3 休職者には、法令で別段の定をする場合を除き、給与を支給しない。
4 第三十一条第一項の規定により隊員の復職について権限を有する者は、休職者について休職の事由が消滅したときは、政令で定める場合を除き、直ちにその者を復職させなければならない。

(自衛官以外の隊員の定年及び定年による退職の特例)
第四十四条の二 隊員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は防衛大臣があらかじめ指定する日のいずれか早い日(次条及び第四十四条の四において「定年退職日」という。)に退職する。
2 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる隊員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
一 病院等で政令で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する隊員で政令で定めるもの 年齢六十三年
三 前二号に掲げる隊員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる職を占める隊員で政令で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で政令で定める年齢
3 前二項の規定は、次の各号の一に該当する隊員には適用しない。
一 臨時的に任用された隊員
二 法律により任期を定めて任用された隊員
三 非常勤の隊員

第四十四条の三 任命権者は、定年に達した隊員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、当該隊員の職務の特殊性又は当該隊員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職が自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、当該隊員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、当該隊員をその職務に従事させるため引き続いて隊員として勤務させることができる。
2 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、防衛大臣の定めるところにより、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、当該隊員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。

(自衛官以外の隊員への定年退職者等の再任用)
第四十四条の四 任命権者は、次に掲げる者(次条において「定年退職者等」という。)を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、常時勤務を要する官職に採用することができる。ただし、その者がその者を採用しようとする官職に係る定年に達していないときは、この限りでない。
一 第四十四条の二第一項の規定により退職した者
二 前条の規定により勤務した後退職した者
三 定年退職日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮し前二号に準ずるものとして政令で定める者
四 第四十五条第一項の規定により退職した者
五 第四十五条第三項又は第四項の規定により勤務した後退職した者
六 第四十五条第一項に規定する定年に達した日の翌日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮し前二号に準ずるものとして政令で定める者
七 国家公務員法の規定により退職した者であつて第一号、第二号又は第三号に準ずるものとして政令で定める者
2 前項の任期又はこの項の規定により更新された任期は、政令で定めるところにより、一年を超えない範囲内で更新することができる。
3 前二項の規定による任期については、その末日は、その者が年齢六十五年に達する日以後における最初の三月三十一日以前でなければならない。

第四十四条の五 任命権者は、定年退職者等を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、短時間勤務の官職(当該官職を占める隊員の一週間当たりの通常の勤務時間が、常時勤務を要する官職でその職務が当該短時間勤務の官職と同種のものを占める隊員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるものをいう。第三項において同じ。)に採用することができる。
2 前項の規定により採用された隊員の任期については、前条第二項及び第三項の規定を準用する。
3 短時間勤務の官職については、定年退職者等のうち第四十四条の二第一項及び第二項の規定の適用があるものとした場合の当該官職に係る定年に達した者に限り任用することができるものとする。

(自衛官の定年及び定年による退職の特例)
第四十五条 自衛官(陸士長等、海士長等及び空士長等を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、定年に達したときは、定年に達した日の翌日に退職する。
2 前項の定年は、勤務の性質に応じ、階級ごとに政令で定める。
3 防衛大臣は、自衛官が定年に達したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、当該自衛官が定年に達した後も引き続いて自衛官として勤務させることができる。
4 防衛大臣は、前項の期間又はこの項の期間が満了する場合において、前項の事由が引き続き存すると認めるときは、当該自衛官の同意を得て、一年以内の期間を限り、引き続いて自衛官として勤務させることができる。ただし、その期間の末日は、当該自衛官が定年に達した日の翌々日から起算して三年を超えることができない。

(自衛官への定年退職者等の再任用)
第四十五条の二 任命権者は、前条第一項の規定により退職した者又は同条第三項若しくは第四項の規定により勤務した後退職した者を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年(任期の末日がその者が年齢六十年に達する日前となる場合にあつては、三年)を超えない範囲内で任期を定め、教育、研究、補給その他防衛大臣の定める業務を行うことを職務とする常時勤務を要する官職に引き続いて採用することができる。
2 前項の任期又はこの項の規定により更新された任期は、政令で定めるところにより、前項に定める期間を超えない範囲内で更新することができる。
3 前二項の規定による任期については、その末日は、その者が年齢六十五年に達する日以前でなければならない。
4 防衛大臣は、第一項の規定により採用された自衛官がその任期が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、任期を延長することができる。

(懲戒処分)
第四十六条 隊員が次の各号のいずれかに該当する場合には、これに対し懲戒処分として、免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
二 隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合
三 その他この法律若しくは自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
2 隊員が、任命権者の要請に応じ一般職に属する国家公務員、特別職に属する国家公務員(隊員を除く。)、地方公務員又は沖縄振興開発金融公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち政令で定めるものに使用される者(以下この項において「一般職国家公務員等」という。)となるため退職し、引き続き一般職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として隊員として採用された場合(一の一般職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の一般職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として隊員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く隊員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、一般職国家公務員等としての在職及び隊員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く隊員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。隊員が、第四十四条の四第一項、第四十四条の五第一項又は第四十五条の二第一項の規定により採用された場合において、第四十四条の四第一項第一号から第六号までに掲げる者となつた日までの引き続く隊員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第四十四条の四第一項、第四十四条の五第一項若しくは第四十五条の二第一項の規定によりかつて採用されて隊員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも、同様とする。

(懲戒の効果)
第四十七条 懲戒処分としての降任は、階級又は職務の級の一級又は二級だけ下位の階級又は職務の級にくだすものとする。
2 停職の期間は、一年以内とする。停職者は、隊員としての身分を保有するが、特に命ぜられた場合を除いては、職務に従事することを停止される。
3 停職者には、法令で別段の定をする場合を除き、給与を支給しない。
4 減給は、一年以内の期間、俸給の五分の一以下を減ずるものとする。

(学生又は生徒の分限及び懲戒の特例)
第四十八条 防衛大学校若しくは防衛医科大学校の長又は第二十五条第五項の政令で定める陸上自衛隊の学校の校長(以下この条において「学校長等」という。)は、学生又は生徒が成績不良又は心身の故障のため修学の見込みがないと認める場合には、その意に反して退校を命ずることができる。
2 学校長等は、学生又は生徒が次の各号のいずれかに該当する場合には、その意に反して休学を命ずることができる。
一 心身の故障のため長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合
3 学校長等は、学生又は生徒が次の各号のいずれかに該当する場合には、これに対し懲戒処分として、退校、停学又は戒告の処分をすることができる。
一 学生又は生徒としての義務に違反し、又は学業を怠つた場合
二 学生又は生徒たるにふさわしくない行為があつた場合
三 その他この法律又はこの法律に基く命令に違反した場合
4 学生又は生徒が第一項又は前項の規定により退校にされた場合には、当然退職するものとする。
5 前項に定めるもののほか、学生又は生徒の分限及び懲戒の効果に関し必要な事項は、政令で定める。

(審査請求の特例)
第四十八条の二 防衛装備庁の職員である隊員(幹部隊員及び自衛官を除く。次項において同じ。)は、防衛装備庁長官により、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合においては、防衛大臣に対して審査請求をすることができる。
2 防衛装備庁長官の委任を受けた者により防衛装備庁の職員である隊員がその意に反して降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合における審査請求は、防衛大臣に対して行うものとする。

(審査請求の処理)
第四十九条 隊員に対するその意に反する降任、休職若しくは免職又は懲戒処分についての審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章の規定は、適用しない。
2 前項に規定する審査請求は、処分の通知を受けた日の翌日から起算して三月以内にしなければならず、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。
3 防衛大臣は、第一項に規定する審査請求を受けた場合には、これを審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。以下同じ。)で政令で定めるものに付議しなければならない。
4 第一項に規定する審査請求に対する裁決は、前項の政令で定める審議会等の議決に基づいてしなければならない。
5 防衛大臣は、第一項に規定する処分の全部又は一部を取り消し、又は変更する場合において、必要があると認めるときは、隊員がその処分によつて受けた不当な結果を是正するため、その処分によつて失われた給与の弁済その他の措置をとらなければならない。
6 第一項に規定する審査請求の手続は、政令で定める。
7 この法律に別段の定めがある場合を除くほか、隊員に対する処分については、審査請求をすることができない。隊員がした申請に対する不作為についても、同様とする。

(適用除外)
第五十条 第四十二条から第四十四条まで及び行政不服審査法の規定は、条件附採用期間中の隊員、臨時的に任用された隊員、学生及び生徒については、適用しない。

(審査請求と訴訟との関係)
第五十条の二 第四十九条第一項に規定する処分(前条に規定する隊員又は学生若しくは生徒に係るものを除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。

(委任規定)
第五十一条 本節に定めるもののほか、隊員の分限及び懲戒に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四節 服務

(服務の本旨)
第五十二条 隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。

(服務の宣誓)
第五十三条 隊員は、防衛省令で定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。

(勤務態勢及び勤務時間等)
第五十四条 隊員は、何時でも職務に従事することのできる態勢になければならない。
2 隊員の勤務時間及び休暇は、勤務の性質に応じ、防衛省令で定める。

(指定場所に居住する義務)
第五十五条 自衛官は、防衛省令で定めるところに従い、防衛大臣が指定する場所に居住しなければならない。

(職務遂行の義務)
第五十六条 隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。

(上官の命令に服従する義務)
第五十七条 隊員は、その職務の遂行に当つては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

(品位を保つ義務)
第五十八条 隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない。
2 自衛官、自衛官候補生、学生及び生徒は、防衛大臣の定めるところに従い、制服を着用し、服装を常に端正に保たなければならない。

(秘密を守る義務) 第五十九条 隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。
2 隊員が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、防衛大臣の許可を受けなければならない。その職を離れた後も、同様とする。
3 前項の許可は、法令に別段の定がある場合を除き、拒むことができない。
4 前三項の規定は、第六十五条の八第一項において準用する国家公務員法第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が同項において準用する同法第十八条の三第一項の規定により行う調査に際して、隊員が、職務上の秘密に属する事項を陳述し、若しくは証言し、又は当該事項の記載、記録若しくは表示がされた書類その他の物件を提出し、若しくは提示する場合については、適用しない。

(職務に専念する義務)
第六十条 隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。
2 隊員は、法令に別段の定めがある場合を除き、防衛省以外の国家機関の職若しくは独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の職を兼ね、又は地方公共団体の機関の職に就くことができない。
3 隊員は、自己の職務以外の防衛省の職務を行い、又は防衛省以外の国家機関の職若しくは行政執行法人の職を兼ね、若しくは地方公共団体の機関の職に就く場合においても、防衛省令で定める場合を除き、給与を受けることができない。

(政治的行為の制限)
第六十一条 隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。
2 隊員は、公選による公職の候補者となることができない。
3 隊員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

(私企業からの隔離)
第六十二条 隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 前項の規定は、隊員が、防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣又はその委任を受けた者の承認を受けた場合には、適用しない。

(他の職又は事業の関与制限)
第六十三条 隊員は、報酬を受けて、第六十条第二項に規定する国家機関、行政執行法人及び地方公共団体の機関の職並びに前条第一項の地位以外の職又は地位に就き、あるいは営利企業以外の事業を行う場合には、防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣の承認を受けなければならない。

(団体の結成等の禁止)
第六十四条 隊員は、勤務条件等に関し使用者たる国の利益を代表する者と交渉するための組合その他の団体を結成し、又はこれに加入してはならない。
2 隊員は、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。
3 何人も、前項の行為を企て、又はその遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動してはならない。
4 前三項の規定に違反する行為をした隊員は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任用上の権利をもつて対抗することができない。

(防衛医科大学校卒業生の勤続に関する義務)
第六十四条の二 防衛医科大学校卒業生(防衛省設置法第十六条第二項に規定する防衛医科大学校卒業生をいう。第九十九条第一項において同じ。)は、同法第十六条第一項第一号の教育訓練を修了した者にあつてはその修了後九年の期間、同項第二号又は第三号の教育訓練を修了した者にあつてはその修了後六年の期間を経過するまでは、隊員として勤続するように努めなければならない。

(委任規定)
第六十五条 本節又は自衛隊員倫理法に定めるもののほか、隊員の服務に関し必要な事項は、防衛省令で定める。



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