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『国民優生法施行規則』


(昭和十六年厚生省令第百二二号)

第一条
優生手術ノ術式ハ左ニ掲グルモノトス
一 精管切除結紮法(精管ヲ約二糎以上切除シ各断端ヲ結紮ス)
二 精管切離変泣法(精管ヲ切離シ其ノ断端ヲ結紮シテ変位固定ス)
三 卵管圧挫結紮法(卵管ヲ凡ソ中央部ニ於テ係蹄トナシ其ノ両脚ヲ圧挫鉗子ヲ以テ圧挫シ其ノ部ニ結紮ヲ施ス)
四 卵管間質部楔状切除法(卵管峡ヲ結紮切断シタル後子宮角ニ楔状切開ヲ施シテ間質部ヲ除去シ原則トシテ残存ノ卵管断端ヲ広靭帯内ニ埋没ス)
五 卵管全剔除法(予宮角ニ近接スル部位ニ於テ卵管ヲ結紮シ其ノ外方ヲ全剔除シ残存ノ卵管断端ヲ原則トシテ腹膜ニテ被覆ス)

第二条 国民優生法(以下法ト称ス)第三条第一項各号ノ一ニ該当スル疾患ハ概ネ別表ニ掲グルモノトス

第三条
法第五条ニ規定スル命令ヲ以テ定ムル医師ハ左ノ者トス
一 官立病院ノ長
二 道府県立病院ノ長
三 地方長官ノ指定スル医師

第四条
法第七条第一項ノ申請書ハ様式第一号ニ依リ、同条第二号ノ健康診断書、調査書及証明書ハ様式第二号ニ依ルベシ

第五条
法第八条第三項及第十条第三項ノ通知ハ優生手術ノ申請ヲ為スコトヲ得ル者ニ対シテハ国民優生法施行令第十二条ノ決定書ノ正本ヲ、其ノ他ノ者ニ対シテハ其ノ謄本ヲ送付シテ之ヲ為スベシ

第六条
法第九条ノ不服ノ申立ハ其ノ理由ヲ具シ文書ヲ以テ其ノ決定ヲ為シタル地方長官ヲ経由シ之ヲ為スベシ

第七条
前条ノ申立書ヲ受理シタル地方長官ハ其ノ決定書並ニ地方優生審査会ノ答申書其ノ他ノ関係書類ヲ添附シ之ヲ厚生大臣ニ送付スベシ

第八条
厚生大臣又ハ地方長官法第十一条第二項ノ規定ニ依リ優生手術ヲ受クルコトヲ得ル者ヲシテ出頭セシメ又ハ健康診断ヲ受ケシメントスルトキハ様式第三号ニ依ル出頭通知書又ハ健康診断通知書ヲ其ノ者ニ対シ交付スベシ
2 中央優生審査会又ハ地方優生審査会ノ会長審査ノ為優生手術ヲ受クルコトヲ得ル者ヲシテ出頭ノ上事実ヲ申述セシムル必要アリト認ムルトキハ又ハ医師ノ健康診断ヲ受ケシムルノ必要アリト認ムルトキハ其ノ旨厚生大臣又ハ地方長官ニ申出ヅベシ

第九条
優生手術ヲ行フベキモノト認ムル決定確定シタルトキハ厚生大臣又ハ地方長官ハ優生手術ヲ受クルコトヲ得ル者ニ対シ様式第四号ノ優生手術命令書ヲ交付ス
2 厚生大臣又ハ地方長官ハ前項ノ命令書ノ謄本ヲ其ノ優生手術ヲ行ハシムベキ医師ニ送付スベシ

第十条
法第十三条第二項ノ医師ハ優生手術ニ付知識経験アル者ノ中ヨリ地方長官ニ於テ指定スルモノトシ場所ハ官立病院、道府県立病院又ハ地方長官ニ於テ特ニ指定スル病院若ハ診療所トス

第十一条
医師必要アリト認ムルトキハ優生手術ノ実施ノ前後ニ於テ優生手術ヲ受クル者ノ生殖能力ノ有無ヲ検査スベシ

第十二条
医師優生手術ヲ受クベキ者生殖不能ナルコトヲ知リタル場合又ハ手術不能ト認ムル場合ハ手術ヲ停止シ速ニ様式第五号ニ依リ地方長官ニ報告スベシ

第十三条
前条ノ報告アリタル場合地方長官ニ於テ優生手術ヲ中止スルヲ適当ト認ムルトキハ様式第六号ニ依リ法第八条第三項ノ規定ニ依リ通知スベキ者ニ対シ其ノ旨ヲ、其ノ実施ヲ延期スルヲ適当ト認ムルトキハ様式第七号ニ依リ本人ニ対シ其ノ旨ヲ通知スベシ
2 前項ノ場合ニハ第九条第二項ノ規定ヲ準用ス
3 第一項後段ノ場合ニ於テ地方長官其ノ者ニ対シ更ニ優生手術ヲ行ハントスルトキハ第九条ノ規定ヲ準用ス

第十四条
法第十三条第三項ノ規定ニ依ル報告ハ手術後二十日以内ニ様式第八号ニ依リ之ヲ為スベシ

第十五条
地方長官ハ様式第九号ニ依ル優生手術台帳ヲ作製シ之ヲ保存スベシ

第十六条
法第十六条ノ行政官庁ハ其ノ手術又ハ処置ヲ行フ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)トス

第十七条
法第十六条第一項ノ規定ニ依リ届出ヲ要スル手術又ハ処置ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル手術又ハ処置トス但シ悪性腫瘍又ハ両側副睾丸結核ニ対スルモノヲ除ク
一 生殖ヲ不能ナラシムルコトヲ目的トスル手術又ハ放射線照射
二 生殖器ニ対スル手術ニシテ結果トシテ生殖ガ不能トナルコトヲ予想シ得ルモノ
三 生殖器又ハ其ノ附近ニ対スル放射線照射ニシテ結果トシテ生殖ガ不能トナルコトヲ予想シ得ルモノ
四 妊娠中絶ヲ目的トスル手術又ハ処置(人工早産又ハ子宮外妊娠ニ対スル手術又ハ処置ヲ含マズ)
五 生殖器ニ対スル手術ニシテ結果トシテ妊娠中絶ヲ予想シ得ルモノ
六 生殖器又ハ其ノ附近ニ対スル放射線照射ニシテ結果トシテ妊娠中絶ヲ予想シ得ルモノ
2 医師前項ノ手術又ハ処置ヲ行ハントスルトキハ其ノ手術又ハ処置ヲ行ハントスル日ノ前日迄ニ様式第十号ニ依リ所轄警察署長ヲ経由シ届出ヅベシ
3 法第十六条第三項ノ屈出ハ前項ニ準ジ其ノ手術又ハ処置ヲ行ヒタル日ヨリ二日以内ニ之ヲ為スベシ

  附 則
本令ハ昭和十六年七月一日ヨリ之ヲ施行ス

別表

一 遺伝性精神病
 精神分裂病
 躁鬱病
 真性癲癇
二 遺伝性精神薄弱
 精神薄弱(白痴、痴愚、魯鈍)
三 遺伝性病的性格
 分裂病質
 循環病質
 癲癇病質
四 遺伝性身体疾患
 遺伝性進行性舞踏病
 遺伝性脊髄性運動失調症
 遺伝性小脳性運動失調症
 筋萎縮性側索硬化症
 脊髄性進行性筋萎縮症
 神経性進行性筋萎縮症
 進行性筋性筋栄養障碍症
 筋緊張病
 筋痙攣性癲癇
 遺伝性震顫症
 家族性小児四肢麻痺
 痙攣性脊髄麻痺
 強直性筋萎縮症
 先天性筋緊張消失症
 先天性軟骨発育障碍
 多発性軟骨性外骨腫
 白児
 魚鱗癬
 多発性軟性神経繊維腫
 結節性硬化症
 色素性乾皮症
 先天性表皮水疱症
 先天性ポルフイリン尿症
 先天性手掌足蹠角化症
 遺伝性視神経萎縮
 網膜色素変性
 黄斑部変性
 網膜膠腫
 先天性白内障
 全色盲
 牛眼
 黒内障性白痴
 先天性眼球震盪
 青色鞏膜
 先天性聾
 遺伝性難聴
 血友病
五 遺伝性畸形
 裂手、裂足
 指趾部分的肥大症
 顔面披裂
 先天性無眼球症
 嚢性脊髄披裂
 先天性骨缺損症
 先天性四肢缺損症
 小頭症

昭和16年6月11日公布、同7月1日施行。
優生保護法(昭和23年法律第156号)の制定により、昭和23年9月11日をもって失効。


【関連法令】
→ 『国民優生法』
→ 『国民優生法施行令』
→ 『優生保護法』
→ 『母体保護法』
→ 『堕胎の罪』



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