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第一面 i n d e x > 日本福祉新聞アーカイブズ > 『ヘイトスピーチ対策法』
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『本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案(ヘイトスピーチ対策法)』


平成28年5月24日可決


前文

我が国においては、近年、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、 適法に居住するその出身者又はその子孫を、我が国の地域社会から排除することを煽動す る不当な差別的言動が行われ、その出身者又はその子孫が多大な苦痛を強いられるととも に、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせている。

もとより、このような不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看 過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものでは ない。

ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、更なる人 権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差 別的言動の解消に向けた取組を推進すべく、この法律を制定する。


第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題である ことに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明ら かにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、専ら本邦の 域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの (以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘 発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知する など、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地 域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。

(基本理念)
第三条 国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を 深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与する よう努めなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策 を実施するとともに、地方公共団体が実施する本邦外出身者に対する不当な差別的言動 の解消に向けた取組に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずる責 務を有する。
2 地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、 国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるも のとする。


第二章 基本的施策

(相談体制の整備)
第五条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとと もに、これに関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備す るものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外 出身者に対する不当な差別的言動に関する相談に的確に応ずるとともに、これに関する 紛争の防止又は解決を図ることができるよう、必要な体制を整備するよう努めるものと する。

(教育の充実等)
第六条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施 するとともに、そのために必要な取組を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外 出身者に対する不当な差別的言動を解消するための教育活動を実施するとともに、その ために必要な取組を行うよう努めるものとする。

(啓発活動等)
第七条 国は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に 周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、 そのために必要な取組を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、本邦外 出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、住民に周知し、その理解を 深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するとともに、そのために必要な 取組を行うよう努めるものとする。


附 則

この法律は、公布の日から施行する。

理 由
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解 消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基 本的施策を定め、これを推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。



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